おいしい料理と楽しいひとときを届ける料理人・シェフの仕事

2021.05.14 おしごと発見!

おしごと発見!

料理人・シェフ

料理人は、飲食店で料理をつくってお客様に提供する仕事です。一言に料理人といっても、レストラン、ホテル、カフェなど働く場はいろいろとあり、ジャンルも和食、洋食、中華などさまざま。無数に存在する食材や調味料を使って、料理をつくり上げる、調理のプロフェッショナルです。[取材:イル テアトリーノ ダ サローネ シェフ 山口智也さん]

おいしい料理をつくり、お客様に楽しい時間を過ごしてもらう


一般的にレストランのキッチンで働くひとを「コック」、そのコックをたばねる責任者を「シェフ」と呼びます。シェフは調理をするだけでなく、キッチンのリーダーとしてメニューの考案やコックの指導、食材の調達を行い、料理全体のプロデュースにたずさわります。高級レストランがならぶ街、東京の広尾にあるイタリア料理店「イル テアトリーノ ダ サローネ」のシェフ・山口さんは、「おいしい料理を提供することはもちろん、お客様に楽しいひとときを過ごしてもらうために、ご予約のお電話の対応の仕方やエントランスでのお迎え・お見送りのごあいさつなど、スタッフ一人ひとりの立ち居振る舞いまで気を配ります」と話します。

レストランには料理を楽しみたいひと、恋人とのデートで来るひと、記念日をお祝いしに来るひとなど、さまざまなひとが訪れます。山口さんは、「毎年、結婚記念日に来てくださるご夫婦もいます。お客様が繰り返し来店してくださったときが、料理人としていちばん嬉しい瞬間ですね」と話します。お店の名前の「テアトリーノ」はイタリア語で「小さな劇場」という意味。ストーリーを楽しむようにコース料理を楽しんでもらいたいという想いが込められています。

丹念(たんねん)な仕込み作業からシェフの一日がはじまる


朝、シェフの一日は仕込みからはじまります。食材を切ったり、パスタの生地をつくったり、おいしい料理をふるまうために欠かせない下準備です。たとえばお肉は、冷蔵庫から出してすぐに焼くのではなく、常温に戻してから火を入れることで、よりやわらかい仕上がりに。パスタに使うソースは朝のうちから火にかけておき、4〜5時間じっくり煮込んで深い味わいを出すなど、ひとつひとつ丁寧(ていねい)に準備していきます。

そして、メニューづくりもシェフの仕事。山口さんは「メニューのつくり方には、絵画や風景を見て発想するアーティスト派と、食材から考える職人派、2種類のタイプがいる」と話します。ご自身は職人タイプだそうで、「たとえば、旬のワタリガニがあったら、甲羅(こうら)を焼いて長い時間をかけてダシを取るのか、それともカニ本来の旨味を邪魔(じゃま)しないように生の状態から短時間でダシを取るのか。どう調理すれば、その食材をいちばんおいしく食べられるかということから考えはじめます」と話します。

長年経験を積んできた山口さんでも、1皿につき10案は考えるそうです。「コースの一品目は季節を感じるようなワクワクするものがいいなとか、イメージをふくらませていきます」。そして新メニューの試食会では、お店のスタッフ全員が意見を出しあいます。「たとえば、キウイとラム酒を使ったスイーツに対して『カモミールも合いそうですね』とか、若いスタッフのなにげない一言がヒントになることもあるんです」。2時間のコースをたっぷり楽しんでもらえるように、料理を囲んでスタッフが一丸となります。

小さい頃、お母さんの手伝いで料理の楽しさを覚えた


山口さんのお母さんは大の料理好き。365日ほぼ毎日、手料理を食べて育ち、よくお手伝いもしていたと言います。小さい頃から料理をした経験が、料理人の道へ進んだルーツだったそうです。そんな山口さんですが、シェフになるためには、調理の技術を学んで修業を積むだけではなく、「自分が何のために料理をつくるのか」という目的を持つことが大切だと語ります。

山口さんには、かつて学んでいた料理の研究所に講師として来ていた大阪の老舗(しにせ)高級イタリアンのオーナーシェフとの出会いがありました。「いまも関西の巨匠(きょしょう)と呼ばれる大ベテランのシェフです。料理はもちろんおいしくて、魅力(みりょく)的でした。でもそれ以上に、『料理でひとになにを伝えたいのか』と熱く話す姿に心が動かされました。こういうシェフにこそ、ひとはついていくんだなとあこがれました」。キッチンをたばねるシェフには、調理の技術やセンスと同じくらい、他のスタッフをひきつけるような料理への情熱も大切であることが伝わってきます。

料理人・シェフになるには?


高校卒業後に2〜3年制の調理師専門学校で学び、その後レストランなどの飲食店に就職するのが一般的です。山口さんは、高校卒業後に辻調理師専門学校に入学。1年間、調理師免許を取るために勉強し、卒業後は辻調理技術研究所へ進学。ここで実技を中心に料理を学びました。「僕らの頃は1年制の専門学校が多かったのですが、いまは実技の授業がしっかりと組み込まれた2〜3年制の学校も増えてきています。自分が学びたいことに合わせて、魅力的だと感じる学校を選べば良いと思います」。

すでにプロのシェフとして活躍している山口さんも、勉強のために、休日には気になるレストランや人気のお店に足を運ぶそうです。お店の雰囲気と料理を味わい、そこで感じたことが、ゆくゆくメニューづくりやお店づくりにも活きてくると話します。調理のプロフェッショナルとして、キッチンのトップに立つリーダーとして、学び続ける努力ができることもシェフになる重要な資質になりそうです。


※2021年3月現在

※取材・撮影は感染対策を施した上で、マスクを外した状態で行っています。

おしごとQ&A

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