子どもの心と体の成長をサポートする保育士の仕事
おしごと発見!
保育士
保育士とは、おもに乳児から小学校就学(0才~6才)までの幼児を保育する仕事です。子どもたちが食事、睡眠(すいみん)、着がえなど基本的な生活習慣を身につけ、集団生活に慣れていく、人生の基盤(きばん)をつくる大切な時期をともに過ごし、心と体の健やかな成長をサポートします。[取材:株式会社さくらさくみらい 保育士 開(ひらき)祐美さん]
子どもの気持ちに寄りそい、自主性を育てる
保育士は、仕事や家事などでいそがしい保護者に代わって、保育園で子どもたちを保育します。開さんが勤める保育園「さくらさくみらい武蔵小山」では、13人の保育士が助け合って子どもたちの保育をしています。
「おあずかりしているのは、0才から6才までの赤ちゃんや子どもたちが70名ほど。0才児は言葉が話せなくても自分の意志を持っていて、それを尊重することで目をかがやかせて喜んでくれる。言葉をつかって気持ちを伝えることができるようになると、大人が思いつかないような発想でおどろかせてくれます。どの年齢(ねんれい)の子どもに接しても、毎日発見があります」と開さんは話します。
保育園は子どもたちにとって、家を出て、はじめて経験する社会生活の場。子どもたちが遊びや会話のなかで、集団生活をおくるための基礎(きそ)を身につけることをサポートするのも、保育士の大切な役割です。保育士になって9年目をむかえた開さんが、保育の仕事で大切にしているのは、「子どもの気持ちを受けとめて認めること」だそうです。
「たとえば、友だちに『おもちゃを貸して』と言われて、『イヤだ』と言った子どもがいた場合、大人は貸してあげることをすすめようとします。でもそうはせずに、その子が『イヤだ』と言ったことをまず認めて、『自分の気持ちをきちんと言えたね』と自分のきもちを表現できたことを認めます。そうすることで、子どもの自主性はのびていきます」。
子どもの好奇心を育てて、笑顔を引き出す
ある日、散歩の時間に子どもたちがてんとう虫を見つけたことがあったそうです。「この虫はなんだろう?」とはしゃぐ子どもたちと一緒(いっしょ)に発見をよろこび、開さんは「あとで調べてみようね」と伝えて、保育園に帰ってきてから子どもたちと図鑑を開きます。「『これってさっきの虫じゃない?』『絵に描いておこう』と、子どもたちの反応はさまざまで、みんな目をキラキラとかがやかせます」。ただいっしょに遊び、なんでも教えるのではなく、子どもたちの好奇心(こうきしん)をきっかけに、自分で調べて、学び、考える楽しさを伝えます。
0才児の保育も担当するため、子どもたちが安全に過ごせるように見守り、一人ひとりの健康状態をきちんとチェックすることも欠かせません。そんな中で、子どもたちの無邪気(むじゃき)な言動に、思わず笑みがこぼれることも。「2歳の男の子とお店ごっこをしていて、私が『これ、いくらになります?』と聞いたら、『PayPay(ペイペイ)でもいいですよ』と答えが返ってきて(笑)、ビックリしました。本当に子どもはまわりのことをよく見ているんだなと、あらためて感じました」。
保育士の仕事では、子どもたちにハッとさせられたり、気づかされたりすることが多くあるそうです。そうした体験や成長を肌(はだ)で感じられることも、保育士の仕事ならではの魅力(みりょく)と言えるでしょう。
2人の弟の世話をするのが好きだった
「よく弟2人と一緒にままごとをしたり、秘密基地をつくったりして遊んでいました」。幼いころから人の面倒を見るのが好きだったという開さん。短期大学の保育科を卒業後、保育士の道へ。しかし実際に働いてみて、保育の仕事は「子どもと楽しく遊んで、無事にあずかる仕事」という当初いだいていたイメージだけではないことに気づきます。「保育士は、子どもたちの人生の基盤となる大切な時期を、ご家庭からまかせてもらっている責任の大きい仕事です。子どもたち一人ひとりの将来を見すえ、生きる力を育めるよう支えなければいけません」。
さらに、保護者にその日の報告を行ったり、育児についての相談を受けたりするのも、保育士の重要な仕事です。子どもたちと長い時間をともに過ごしているからこそ気づけることや健康状態の把握(はあく)、保育の知識や経験を活かして、保護者の力になります。9年目をむかえる開さんでも、保育士になりたてのころはまだわからないこともあり、「どういう風に話せば、きちんと保護者の方に伝わるか」と保護者とのコミュニケーションの仕方になやみをもったこともあったそうです。
しかし、失敗をしながら経験を積み、3年目以降はそうしたなやみもなくなり、「いまは純粋(じゅんすい)に保育士の仕事を楽しめている」と話します。
保育士になるには?
保育士の資格を取得する必要があります。資格は、大学、短期大学、専門学校などで指定科目を学び、卒業すれば取得できます。また、年2回開かれる保育士国家試験に合格することで取得もできます。保育士国家試験は、大学、短期大学、専門学校のいずれかを卒業、あるいは在学中であれば基本的に受験ができます。高校卒業以下の場合は、一定時間以上、児童福祉施設(じどうふくししせつ)において児童の保護に従事した経験が必要です。
「保育士は、自分の得意なものがなんでも役立つ仕事です。電車にくわしい、足が速い、本が好き、歌がうまい、楽器が演奏できるなど、なんでも大丈夫(だいじょうぶ)。子どもは好奇心いっぱいで、必ず保育士の得意なことに興味をもってくれます。保育士をめざしている方は、ぜひ、いま自分が得意なもの、好きなものを大切にして、将来、子どもたちと楽しんでください。きっと、目をかがやかせて、よろこんでくれると思いますよ」。
※2021年3月現在
※取材・撮影は感染対策を施した上で、マスクを外した状態で行っています。
おしごとQ&A
保育園ってどんなところ?
小学校にあがる前の子どもたちが通う保育園。どんなところか聞かれたら、答えることはできますか? 保育園のなりたちや特徴について、日本保育サービスに教えてもらいました。