つらそうに見える土木の仕事、面白さはどんなところ?

2019.08.28 おしごとBOOK

しごとについての質問

土木や建設業は単純につらそう。自分にできるとは思えないけど、どんな面白さがあるんですか?(14歳・男子)

<答えてくれる人>土井英司(どいえいじ)さん

アマゾンの日本サイト立ち上げにも参画した本の目利き。書評家。出版コンサルティング会社・エリエス・ブック・コンサルティング社長。世界で1100万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』のプロデューサーでもある。

世界から評価。もはや武器ともいえる日本の土木業、建築技術


『しごとば 東京スカイツリー』
著者・絵:鈴木のりたけ
出版社:ブロンズ新社
価格:1800円(税別)

今はITや宇宙飛行など、華やかに見える仕事が多いから、道路や橋を作る土木業が地味に見えちゃうのは仕方ないかもしれないね。でも、視野を広げれば、土木業ほど、日本が世界から評価されている分野もないんです。

以前、「アジアの未来 シンポジウム」というのに出席したら、そこにはシンガポール首相、マレーシア首相、ベトナム副首相が参加していたんだけれど、みなさん口をそろえて「日本に学びたいことは、インフラとモノ作りだ」とおっしゃる。インフラというのは、道路や橋や鉄道のようなものだけれど、それこそが日本の武器なんです。日本は地震や台風があるから、おのずと建築技術は高くなるんですよね。

その日本の土木や建設業のすごさを感じられるのが、鈴木のりたけさんが書いた、『しごとば 東京スカイツリー』。これは絵本なんだけれど、世界一の電波塔(高さ634メートル)スカイツリーを作るのに、どれだけの技術者が関わり、どんなふうに作られているのかがよくわかるすごい本だ。限られた条件のなかで、丈夫なタワーを作るため、数百ページの設計図をまとめ上げる設計士の仕事、合計3万7000本の鉄骨を作る鉄工員の仕事など、読んでいて本当にワクワクします。今作っている新国立競技場も、高い技術があるからこそ、作ることができる建築物です。

震災を受けても、希望をつくる仕事


『希望はつくる あきらめない、魂の仕事』
著者:迫 慶一郎
出版社:WAVE出版
価格:1600円(税別)

もう一冊は、中国で巨大プロジェクトを次々成功させている、建築家、迫慶一郎(さこ・けいいちろう)さんの『希望はつくる』。著者が手掛けた個性的な建築の写真と、四川大地震、東日本大震災を受けて感じたメッセージがつづられている、エネルギーあふれる本です。まさに「破壊」の反対は「建設」。土木や建設が希望をつくる仕事だということがよくわかります。

君は、土木や建設業を「単純につらそう」と言いながら、「どんな面白さがあるんですか?」と気になっていた。ひょっとして土木に進んだら、世界的な仕事を成し遂げるかもしれませんね。大いに期待しています。