特技は水泳!海女さんって、私にもなれる?

2019.08.28 おしごとBOOK

しごとについての質問

私は泳ぐことが好きなのですが、海女さんとしてやっていけるでしょうか?(10歳・女子)

<答えてくれる人>児玉ひろ美(こだまひろみ)さん

公立図書館司書とJPIC*読書アドバイザーのふたつの立場から子どもの読書推進活動を展開。幼稚園・保育園から中学生まで、お話し会やブックトークの実践とともに、成人への講座や講演は年100回を超える。近年は短期大学にて「児童文化」「絵本論」の講義を担当し、「2021・2022・2023年度ブックスタート赤ちゃん絵本 選考委員」でもある。著作に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)等があり、雑誌やWEB等でも連載中。

*JPIC(ジェイピック):一般社団法人 出版文化産業振興財団

磯場の海女さんに話を聞いた、ノンフィクションを読んでみませんか


『海女、このすばらしき人たち』
著者:川口祐二
出版社:北斗書房
価格:1600円(税別)

質問を読み、もしかしたら「泳ぐことが好きというだけで、海女さんの仕事ができますか?」と、「海女さんって、生活が成り立ちますか?」の、ふたつの意味で不安な気持ちなのかな? と思いました。そうですね、どちらも大切なことですね。そんなあなたにおすすめなのは、岩手から九州まで10カ所の磯場で、現役の海女さんから話を聞いてきたノンフィクション『海女、このすばらしき人たち』。

海女さんは古くは万葉集にも歌われた伝統ある女性の職業。そして、「鼓膜が破れるのは海女の宿命」「(環境を守るため)海底でひっくり返した岩は、必ず元に戻す」など、潜水時間50秒に命と生活をかけた現役海女さんたちの力強い言葉が印象に残ります。なかには“イルカと一緒に泳ぎたいと思ったことがきっかけ”で海女になった、「東京娘が海女になった話」もあり、ここから読んでみるのもよいですね。

海で働く漁師の仕事には、海女さんの話と通じることがあります


『キャリア教育支援ガイド お仕事ナビ7 海と大地で働く仕事』
編者:お仕事ナビ編集室
出版社:理論社
価格:2800円(税別)

海女さんのように泳ぎはしませんが、同じく海で働く仕事である漁師の仕事ものぞいてみましょう。『お仕事ナビ7 海と大地で働く仕事』には、農業・林業・漁業・酪農の4つが紹介されています。

そのうちの「漁業ってどんな仕事?」には、現役の漁師さんへのQ&Aページもあり、そのひとつひとつに先に紹介した海女さんの話と通じることがあります。特に仕事場である海の環境を大切にすること、環境を守るためには学びが必要なこと、学びを実践し継続するには仲間の力が必要なことなどに、海女さんと同じ意識を強く感じます。ほか、道具の紹介や、漁師になるための進路のフローチャート、取得すると便利な資格なども紹介されています。

漁業以外の職業でも同様の解説やQ&Aがありますので、それぞれ比べてみると、より職業に対する意識――好きなことを仕事にすること、好きな仕事で自分を養えるようになること――が明確になるかもしれません。