世界で森林が減少しているというニュースを聞いたことはありませんか? でも、それは国や地域によって異なるようです。日本の現状について森林文化協会に聞きました。
- 森を守る仕事
- 環境に関わる仕事
- 世の中に広める仕事
世界全体で森林面積が減る一方、日本国内では多くの人の努力によって森が維持されているよ。
日本は世界3位の森林大国
世界の森林面積は約39.9億ヘクタール。これは全陸地面積の約3割に当たります。しかし、世界の森林は毎年330万ヘクタールのペース(2010~15年の平均)で減り続けています。特に、南米とアフリカの減少が大きく、これは過剰な伐採や、森林の農地への転換、森林火災などによるものです。
一方アジアなど、活発な植林活動によって森林が増えている地域もあります。日本をみると、森林面積はこの100年以上ほぼ変わっていません。約2500万ヘクタールあり、森林比率はフィンランド、スウェーデンに次いで世界3位(※)。日本は世界有数の森林大国と言えます。
※OECD(オーイーシーディー)加盟の38カ国中
●日本は国土の約3分の2が森林
国土交通省「令和4年版土地白書」(国土面積は令和2年の数値)から作製
●世界の森林面積、毎年の増減は…
2010~15年の地域別純増減。国連食糧農業機関
「Global Forest Resources Assessment 2015」から作製
天然林と人工林
日本は古来、その土地の気候によって針葉樹や広葉樹がバランスよく育まれてきました。こうした天然林に加えて、森林資源の約4割をスギ・ヒノキ・カラマツといった人工林が占めているのも特徴です。人の手によって苗木が植えられ(植林)、木を育て、成長した木を切り(伐採)、それを利用するという森林再生サイクル(次の項目の図)が出来上がっています。
●人工林の樹種別面積
林野庁「森林資源の現況」(平成29年3月)
ぼくらも森が大好きだポン!
森の大切な役割とは?
森はなくてはならないもの、いくつもの大切な役割があります。
▲成長の途中で一部の木を切ることを「間伐」と言います。健やかな森を育てるための大切な作業です
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温暖化防止
森は二酸化炭素(CO2 ※読み方はシーオーツー)を吸収し、酸素(O2)を放出、地球温暖化を抑制します。
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水源のかん養
雨水を土の中に蓄えて、きれいな水を生み出します。
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土砂災害の防止
多くの木々によって洪水や土砂崩れを防ぐことができます。
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生物多様性の保全
さまざまな動物や植物が暮らし、豊かな生態系が生まれます。
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木材や食料の生産
木は住宅や木造家具、紙などに、きのこや山菜は食物になります。
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レクリエーション
森の澄んだ空気は、人を安らかな気持ちにしてくれます。
森で働き、森を育てる人たち
森には、上のような多くの役割があります。森を守り、育てる仕事である林業従事者は長年、減少傾向にありましたが、2015年頃から横ばいに転じ、約4万4000人(2020年)います。林業に関わる人だけでなく、ボランティアや緑を愛する人たちによって、日本の森林は脈々と守られています。
「山と木と人の共生」をテーマに活動しています!
公益財団法人 森林文化協会
常務理事 関岡哲哉さん
地球温暖化が進み、森林に危機が迫っている今日、さまざまな森の恵みを受け取って生きている私たちは、どうやって健康な森を守り育てていくかを真剣に考える必要があります。森に出かけ、木や土にさわり、いろんな生き物を観察してみましょう。森林の働きを学び、森から生まれる紙を大切にすることも大事です。
1978年に設立された森林文化協会は、「山と木と人の共生」をテーマに、地球環境の保護につながる活動を続けてきました。冊子「森林環境」の発行や、情報サイト「グリーン・パワー」の編集、自然観察会や木育(もくいく)ワークショップなどの開催を通じて、多くの人々に森林や木材の大切さを訴えています。皆さんも協会のイベントに参加してみませんか。
※問い合わせ先=Tel.03-5540-7686
緑があふれる未来の地球について、一緒に考えましょう!