大人の言葉にいらだつ時、君は哲学の入り口に立っている

2019.08.28 おしごとBOOK

しごとについての質問

まだ決めてないのに、大人は何で「将来何になりたいの?」って何回も聞いてくるんだろう?(15歳・男子)

<答えてくれる人>清水克衛(しみずかつよし)さん

書店「読書のすすめ」代表、逆のものさし講主宰、NPO法人読書普及協会顧問。1995年に東京都江戸川区篠崎町で書店「読書のすすめ」を開業。著書に、『非常識な読書のすすめ』(現代書林)、『逆のものさし思考』(エイチエス)など多数。

適当に答えておこう。早く決める必要はない。君の可能性は無限大なのだから


『14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト』
著者:飲茶
出版社:二見書房
価格:1500円(税別)

こういう質問をする大人って、きっと君のことがとても好きなんです。しかし、こういう問いには「アンパンマンになりたい」とか適当に答えておけばいい (笑) 。なぜなら、まだまだ君は何にでもなれる可能性がある。早く決める必要はない。

この『14歳からの哲学入門』に書いてあることだけど、幼稚園児とか小学校低学年のうちは、大人の言うことを素直に聞くけど、少し成長してくると自我が芽生えてくる。その時に人は三つのパターンに分かれるそうです。大人が言うことに対し、1妥協する。2反抗する。3哲学する(考える)。1は、逆らったって損するだけだと考える。2は、言っていることとやっていることの矛盾に気づき腹が立ってただグレてみる。3は、大人が言っていることをとことん考えつめてみる。

この場合、1と2を選んでしまっては、君の未来への可能性はぐっと狭まってしまう。3を選ぶことができれば、君の未来の可能性は無限大と言っていいでしょう。哲学するきっかけに、この本は最適な本ですよ。

橋本左内が15歳の時に書いた名著『啓蒙録』にある、5つの大事なこと


『いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ⑫ 啓発録』
著者:橋本左内
現代語訳:夏川賀央
出版社:致知出版社
価格:1400円(税別)

『啓発録』の著者、橋本左内という人は、福井県の人で幕末に活躍した志士。26歳のときに「安政の大獄」で捕まり斬首となってしまいました。彼がもし亡くなっていなかったら、明治維新はもっとよりよいものになっていただろうと言われた天才です。この彼が15歳の時に書いたのがこの本なのです。

彼自身のいましめもあったのでしょう。この本の中で5つの大事なことを挙げています。1 稚心を去る。稚心とは「子どもっぽい」ことです。2 気を振るう。元気・やる気・勇気等、常に振るっていなければならないということです。3 志を立てる。どんな人間になりたいか、はっきりと目標を決めるということです。4 学に勉(つと)む。真の勉強とは、心を鍛えること。5 交友を選ぶ。益友と損友の二種類があると左内は言っています。さて、これはどういう意味があるのでしょう。これらをあなたがしっかりと身に着けたとき、将来なんにでもなれるでしょう。まずは、稚心を去ることから始めてみましょうか。