パティシエ のしごと

2025.02.12 紹介します○○のしごと

キルフェボングランメゾン銀座のパティシエ、加口美緒さん
「19歳の時にキルフェボンの店を初めて訪れ、自分もこんなタルトをつくる側にまわりたいと考えました」と振り返る加口美緒さん=2024年11月、東京都中央区
キルフェボングランメゾン銀座のパティシエ、加口美緒さん

加口美緒さん

キル フェ ボン グランメゾン銀座(東京都中央区)

「最高」をこえるスイーツめざし

クッキーのような生地の上にフルーツやクリームなどを盛りつけた洋菓子「タルト」。中でも、色あざやかなフルーツがちりばめられたキルフェボンのタルトは、宝石やアートにたとえられることもあるほど。

毎年25種類ほどの新作が登場し、これまで800種類以上を世に送り出してきました。

そんなブランドの中心的なお店、グランメゾン銀座で加口さんは働いています。

タルトづくりは、まず生地を焼くことから始まります。次に、その生地にクリームやムースをしきつめ、さらにフルーツなどでかざりつけます。複数の工程があるため4~5人で作業を手分けし、「一つのタルトをみんなでつくり上げています」。

おいしく、美しいタルトをつくる工夫もいっぱいです。例えば、マンゴーやメロンなどは食べごろまでねかせる工程を採り入れています。タルトを美しくかざりつけるため、フルーツはミリ単位で切り分けます。

毎回、最高のものを目指してつくっていますが、「こうしたらもっとよいのでは」とアイデアも次々とうかぶといいます。

「タルトづくりはずっと勉強。終わりはありません」と加口さん。そんな気持ちで日々、タルトづくりと向き合っています。

あゆみ

1993年
兵庫県生まれ
小学校時代
お母さんが趣味として家でつくってくれたワッフルやドーナツなどのお菓子やパンが大好きでした。3年生ごろから、お母さんに手伝ってもらいながら、ガトーショコラなどを自分でもつくるように。持久走が好きで、「がまん強さ」が身につきました
中学校時代
人気のスイーツ店やパン屋をめぐるようになりました
高校時代
「ドーナツが食べられるのでは」と考え、ドーナツ店でアルバイトを始めました
製菓学校時代
先生がつくった見本をみながら、ケーキなどをつくる実習に明け暮れる日々。おいしいだけでなく、衛生的で安全なお菓子づくりの知識も学びました
社会人時代
2013年にキルフェボンに入社。京都や大阪のお店を経験。働き始めて8年目の東京スカイツリータウン・ソラマチ店では、店長もつとめました
やりがいや苦労

「楽しみ」になることの喜び

グランメゾン銀座のショーケースには、20種類ほどの色とりどりのタルトなどがずらり。直径25センチの1ホールで1万円をこえるものも。

そんな売り場でお客さんがうっとりしたり、考えこんだりして、タルトを選んでいる姿をみるのが、「とてもうれしく、やりがいを感じられる瞬間」と加口さん。お客さんの中にはお店に入ったとたん、目当てのタルトにまっしぐらにつき進む人もいるそうです。

加口さんは、「つくったタルトがだれかの楽しみになっていることが、自分の喜びにもなっています」と話します。

なるためには?

製菓学校などで専門的に学ぶことが一つの道です。ただ、現在は動画配信サイトでも、映像でつくり方が見られるようになっています。ケーキづくりは、実際に手を動かしてみないと分からないことがたくさんあるので、興味がある人は「やってみたい!」という気持ちに素直に、どんどんつくってみるとよいと思います。スイーツや食材にもトレンドがあるので、普段から情報のアンテナを張っておくことも大事なことです。

向いている人は?

キルフェボン 広報 リーダー
春山麻衣さん

キルフェボン広報リーダーの春山麻衣さん

スイーツを食べることやつくることが好きな人が向いています。タルトなどスイーツを売ることを通じ、仲間とともにお客さまに笑顔や幸せを届ける仕事なので、チームワークも大切です。

必要な道具は?

どのピースが選ばれても、同じおいしさを届けられることが大事。タルトの生地の上にフルーツなどを均等に盛りつける際に「等分器」という道具を使います。

キルフェボンのパティシエ、加口美緒さんが仕事で必要な道具だと話す「等分器」という道具

2024.12.2付 朝日小学生新聞
構成・中尾浩之

毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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