身体の中を見る内視鏡ってどんなもの?

おしごと年鑑 未来を生み出す科学技術のお仕事 2024年度
オリンパス株式会社

おなかの中が、病気になっているかもしれないときに、医師は口からおなかの中をのぞいたりはできません。おなかを切らずに身体の中を見るために使う道具が内視鏡です。内視鏡についてオリンパスに聞いてみました。

  • 内視鏡の仕事
  • 医療に関わる仕事
  • 社会に貢献する仕事

身体の中に軟らかい管を入れて病気があるか調べたり、病気の部分を取り除いたりするために、医師が使う道具だよ。

内視鏡は、食道、胃、大腸などの消化管に病気があるかどうかを調べるために使います。身体の中に細く軟らかい管を入れて、先端のレンズで身体の内部を映し出します。医師が内視鏡を操作しながら、身体の内部をモニターに映る映像で確認します。レントゲン検査やCT(シーティー)検査が体の外から撮影した写真を見るのに対して、内視鏡は、身体の中の状態をそのまま映像で見ることができます。さらに内視鏡を通して、処置具を入れることで、病気の部分を取り除くなどの治療をすることもできます。内視鏡は医師の代わりに、身体の内部を見て、治療する頼れる助手のような存在です。

内視鏡は医師の目や手の代わりとなって使われます

内視鏡

内視鏡の構造と機能はこうなっているよ

ビデオ内視鏡システム

ビデオ内視鏡システム

モニター

内視鏡の映像がモニターに映し出されるので、複数の医師や看護師が同じ映像を見ることができます。

ビデオシステムセンター

スコープの先端部で撮影した画像をビデオプロセッサーで見やすく処理して、モニターに映し出します。また、身体の中は暗いので、ライトで内部を明るく照らします。

ビデオスコープの構造

ビデオスコープの構造
私たちに身近な病気「がん」

日本では毎年約100万人ががんにかかり*1、約38万人もの人ががんで亡くなっており、がんは日本人の死亡原因の第1位(24.6%)となっています*2。日本人がもっともかかりやすい大腸がんや胃がんは、40歳を超えたあたりから、かかる人が増えてきます。

*1 出典:全国がん登録罹患数(2020年調査、2024年公開) *2 出典:令和4年(2022年)人口動態統計(確定数)

日本人の死因第1位は「がん」

死因の構成割合(令和4年)

死因の構成割合(令和4年)

日本ではたくさんの人ががんで亡くなっているんだね。

ミナ

内視鏡はがんの早期発見と早期治療を助ける

内視鏡は胃がん・大腸がんの検査や治療に使われています。胃がん・大腸がんは、検診によって早い段階で見つけて、早い段階で治療することで死亡率が低くなります。大腸がんの場合、早い段階で発見し適切な治療を受ければ、診断から5年経った後に生きている確率(5年生存率)は98%以上にもなります*3。

*3 全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2021年11月集計)

内視鏡はがんの早期発見と早期治療を助ける

内視鏡は見るだけでなく治療にも活躍します

早期がんなどの病気に対して行われている内視鏡治療は、一般的な外科手術に比べて入院日数が短くすみ、また患者さんへの負担も軽くできると言われています。人々の「人生や生活の質(QOL/キューオーエル)」を高める治療法として注目されています。

処置具を使って治療ができます

内視鏡による早期がん治療の例

内視鏡による早期がん治療の例

内視鏡スコープをおなかの中に入れ、スコープに処置具を入れてできものに引っ掛けます。

内視鏡による早期がん治療の例

処置具でできものの根元を絞り、電気を通して焼き切ります。

内視鏡による早期がん治療の例

別の処置具を使って、できものを回収します。

内視鏡治療は、おなかを切らなくてもいいのじゃ!

ドングリーン

内視鏡を通じて、世界の人々の健康を支えるお仕事です

答えてくれた人

オリンパス株式会社
消化器内視鏡開発部門 金井穂香さん

医療のお仕事として、医師や看護師をイメージする方が多いと思いますが、実際の病院ではさまざまな医療機器や医薬品があり、医師による検査や治療などの医療に役立てられています。
内視鏡は、胃がんや大腸がんなどおなかの病気の検査だけでなく、早期の病変であれば、おなかを切って手術することなく身体への負担の少ない治療にも活用されています。
1人でも多くの人々の健康を守るために、世界中の人々が安心して内視鏡検査を受けてもらえるよう、これからもより良い内視鏡を開発していきたいと思います。

内視鏡は、世界の人々の健康のために役立てられています。

答えてくれた人