だれもが一度は行ったことがある病院。その病院には、実は設計や建設でさまざまな工夫が施されています。山口県「脳神経筋センター よしみず病院」を設計、建設したフジタにくわしく教えてもらいました。
- 建築の仕事
- 設計の仕事
- 建設工事の仕事
病院の課題や要望をよく聞いて、それを解決するための工夫をたくさんしているよ。
設計担当者は、病院のスタッフと、何度も打ち合わせを行います。そして、その中で出てきた課題や要望をもとに、建物の設計図を考えていきます。建物に一体どんな工夫がされているのか、その一部を見てみましょう。
地域に開かれた病院にしたいのです!
街の人たちが病院に親しめる工夫
脳神経筋センターよしみず病院(山口県)
解決策はお任せください!
1 地域の人との交流の場になるカフェ・多目的ホール
一般の人も利用できるカフェ・食堂は、イベント時には多目的ホール「ぱるて」としても利用できます。
2 道路側がガラス張りで病院内の様子がわかる!
大通りに面した部分にはカーテンウォール(ガラス張りの壁)を設け、開放感を演出。リハビリ風景や人の集まる待合など、人の活動的な様子を伺えます。待合ホールでは、病院スタッフの写真をモザイク状にした全長3mもある巨大アートが、訪れた人を出迎えます。
3 地域の人も楽しめる散策路!
季節ごとに咲く花が植えられた散策路。階段を使い、四季を感じながら外でもリハビリができます。
こんな素敵な病院なら、行くのが楽しみになりそうだね!
病院内が、迷路みたいでは大変!
人の目が行き届く、スタッフの連携を重視した動線
看護の気配りがしやすく、分かりやすい配置
病院は多くの患者さんがいて、スタッフは大忙しです。そこで効率的に患者さんに目を配り見回れるように、フロア中央にスタッフステーションを向かい合わせで配置しています。スタッフステーション同士で連携がとりやすくお互い助け合える関係が実現。また、各階にそれぞれのフロアカラーを配置し、今どこにいるのか色ですぐに分かります。
のびのびとリハビリがしたい!
患者さんが快適に医療を受けられる工夫
広くて、日差しがたっぷりのリハビリルーム
南側に面して配置され、明るく気持ちよい空間でいきいきとリハビリを受けられます。大空間とすることで、広さを活用した免荷歩行(めんかほこう)レール(足や関節に体重をかけない装置)など多種多様なリハビリが可能です。
プライバシーが守られる病室
4人部屋の病室では、障子や家具で部屋を仕切り、個室のように過ごせます。
この個室風多床(たしょう)室は、患者さんから人気なんだって!
感染症に対応した病室
工事期間中に新型コロナウイルスが流行したことから陰圧(いんあつ)室を設置。室内の気圧を低くすることで、ウイルスなどで汚染された空気の流出を防ぎます。
"思いを形にする"仕事です
株式会社フジタ
設計統括部 計画設計第四部 田中友望さん
病院が完成するまでに、理事長や、病院スタッフの方々と何度も打ち合わせを重ねます。そこでは、医療機器の配置や使い方、仕事内容、どのような患者さんがいるかなど、現在の状況と今後どうしたいかを聞き、できるだけ多くの“思い”を引き出します。
この思いを設計に織り込むことで、患者さんやスタッフが安心かつ快適に過ごせる病院が出来上がります。設計の仕事はさまざまな工夫をし、思いを形にすることです。たくさんの専門知識を持つことはもちろん、話しやすい雰囲気を作ることも大事な仕事のひとつです。建物が完成し、多くの人に喜んでもらえたときに誇りとやりがいを感じます。
フジタは建設を通してものづくりの楽しさを広める「築育」にも力を入れています。