認定補聴器技能者 のしごと

2022.05.06 紹介します○○のしごと

トーシン・天王寺補聴器センターの認定補聴器技能者、森本誉規さん
パソコンを使って補聴器を調整する森本誉規さん=2021年9月30日、大阪市天王寺区 ※実際の接客ではマスクを着用します
トーシン・天王寺補聴器センターの認定補聴器技能者、森本誉規さん

森本誉規さん

トーシン・天王寺 補聴器センター(大阪市天王寺区)

一人ひとりの「聞こえ」を補う

音を聞き取る力が下がった人の「聞こえ」を補う補聴器。その専門的な知識を持ち、利用者が正しく使えるよう、補聴器の調整やアドバイスをするのが、認定補聴器技能者です。販売員として接客し、購入してからも定期的に補聴器のメンテナンスをします。公益財団法人テクノエイド協会が認定しています。

森本さんの職場は、補聴器の専門店。お客さんの中心はお年寄りです。取材で訪れると、身長183センチメートルの森本さんはしゃがんで、座っているお客さんの話をじっくりと聞いていました。

「補聴器を買っていただくことがゴールではない。生活をよりよくするお手伝いをするのが、私たちの仕事です」と森本さん。購入後は数か月に一度、補聴器の点検やそうじをします。補聴器をパソコンに無線などでつなぎ、お客さんの要望を聞きながら音量を調整します。

「高い音が聞こえにくければ、そこを中心に音量を上げます。実際に音を出しながら最適な状態にします」。一人ひとりに合った「オーダーメイド」の調整です。

病院の耳鼻咽喉科へ出向き、聞こえにくい人に補聴器の説明をしたり、利用者の自宅で補聴器の調整をしたりすることもあります。

認定補聴器技能者、森本誉規さんのおしごとの4コマ漫画

あゆみ

小学生の時に熱中したのは、初代「ポケットモンスター」などのゲームです。水泳や卓球などスポーツも経験しました。ただ、「目立たないタイプで何かに情熱を燃やすことはなかった」とふり返ります。

高校生の時、ダウン症のいとこが生まれました。発音障がいがあるいとこは、言語聴覚士(言葉によるコミュニケーションに難しさがある人を支える専門職)のリハビリを受けていました。「こんな仕事があるんだ」と興味を持ち、専門の大学へ進学。そこから補聴器へと関心を広げ、今の仕事に就きました。

1987年
大阪府生まれ
2003年
大阪府立金岡高校に進学
2006年
大阪河﨑リハビリテーション大学に進学
2010年
大学卒業とともに、言語聴覚士の資格を取得。東神実業株式会社に入社。トーシン・天王寺 補聴器センターに配属される
2015年
認定補聴器技能者の資格を取得
やりがいや苦労

「まわりの声が聞こえる」がはげみに

お客さんの喜ぶ声を直接聞けることが、一番のやりがいです。「『まわりの声が聞こえるようになった』といった喜びにふれるのが、何よりもうれしい」と笑顔で語ります。

一方で、そこにたどりつくのは簡単ではありません。難聴の人の脳は聞こえにくい状態に慣れているため、補聴器をつけ始めた時は「うるさい」と感じます。そこで利用をやめる人もいます。日本では、補聴器を使う人の割合はまだまだ低いといいます。

「プラスのイメージを持てたら試していただく一歩になる。これからも、ていねいな説明や調整をしていきます」

クローズアップ
トーシン・天王寺補聴器センターの認定補聴器技能者、森本誉規さんが仕事で使う試聴チューブ。ここに補聴器をつなげて、点検や調整をします
試聴チューブ。ここに補聴器をつなげて、点検や調整をします

2021.11.8付 朝日小学生新聞
構成:中塚慧
イラスト:たなかさゆり

毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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