家具職人 のしごと

2022.04.15 紹介します○○のしごと

家具職人の直井宏樹さん
木材にやすりをかける直井さん。木によって成長の仕方がちがうため、どの部分をどう使うか一つひとつ見極めながら選んでいるそうです=2021年6月、東京都台東区
家具職人の直井宏樹さん

直井宏樹さん

WOODWORK(東京都台東区)

安全第一、長く使えるものを

いす、テーブル、本だななど、生活に身近な道具である家具。直井さんは、家具ブランド「WOODWORK」の工房で、家具を作っています。家具のデザインを元に、「形にする」ことが主な仕事です。

「どんな種類の木材を使い、脚の長さをどうするか。どうやって組み立て、つなげていくかなどを考えます」と直井さん。家具を作る時は、使う人の安全が第一です。その上で生活の変化に合わせてテーブルの脚の長さを変えられるようにするなど、工夫もこらします。

お客さんからの注文で一から家具を作ることがあります。こうしたオーダーメイドの家具の場合は、いま部屋にある家具の色合い、家族の人数、ペットがいるかなども聞き、お客さんにぴったりの家具を考えます。

最近は量販店などで家具を安い値段で買えるようになりました。ただ直井さんは、少し高価であったとしても、お客さんが家具に愛着を持って、使えることを大切にしています。

「家族が増えた時に、テーブルの天板を大きいものに変えて、使い続けてくださる方もいます。お客さんの要望をできる限り聞きながら、いい状態で長く使ってもらえる家具を作っていきたいです」

家具職人の直井宏樹さんの主な仕事を紹介するマンガ

あゆみ

高校生の時、友だちのお父さんが建築家の仕事をしていました。その方から話を聞くうちに建築に関心を持ち、住宅の建築家になろうと思い、大学は建築工学科に進学しました。

大学院在学中に、ある有名な建築家の方の個展に行った時のことです。展示された折りたためる机に心ひかれ、家具に興味を持つようになりました。もともと寄せ木細工(伝統工芸品の技のひとつ)のような「しかけ」を考えることが好きで、生活の中でふれられる家具にも魅力を感じ、職人をめざすようになりました。

1979年
東京都生まれ
1995年
日本大学鶴ケ丘高校進学
1998年
日本大学生産工学部建築工学科に進学
2002年
日本大学大学院生産工学研究科建築工学専攻に進学。大学院修了後、オーダー家具の会社で、デザインを図面に起こす仕事にたずさわる
2007年
WOODWORKに入社。現在は工房長として、2人の家具職人とともに働く
やりがいや苦労

時間へて「いい味」になる喜び

木は伸び縮みしたりそったりして、「動くもの」です。そのため家具が時間とともにどのようになっていくかを想像して作ることが難しいです。

過去に家具をオーダーしてくれたことのあるお客さんが、新しい家具を購入してくれました。自宅まで家具を届けに行った時、前のオーダーの家具がお客さんに使われて「いい味」になっていました。とてもうれしかったです。

工房のみんなと、どんな家具にするかいっしょになやみながら考えています。いいアイデアがうかんで、「いいね!」とほめ合う時も楽しい時間です。

クローズアップ
家具職人の直井宏樹さんがオーダーで作った子ども用ベンチ=WOODWORK(東京都台東区)提供
オーダーで作った子ども用のベンチ。安全性を大切にしながら、成長に合わせてステップの高さなどを変えられるようにしました(WOODWORK提供)

2021.7.19付 朝日小学生新聞
構成:近藤理恵
イラスト:たなかさゆり

毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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