声楽家 のしごと

2022.02.25 紹介します○○のしごと

声楽家の水上恵理さん
「表現する自由を楽しみながら、みなさんが前向きになれるような歌声をひろうしていきたい」と話す水上恵理さん=本人提供
声楽家の水上恵理さん

水上恵理さん

藤原歌劇団正団員

クラシック音楽を舞台で歌う

オペラなどのクラシック音楽を歌い、コンサートをはじめとした舞台でひろうするのが声楽家です。はなやかな舞台で最高のパフォーマンスをするために、数えきれないほどの練習を重ねています。「それでも舞台は緊張の連続です」と水上さんはいいます。

朝起きたらまず一声出して、その日の声の調子を確かめます。その後、少しずつ声を出し、発声の練習をします。「声が何より大切なので、発声と体調管理は欠かせません」。規則正しい生活で健康を保ち、かぜで声が出なくならないように気をつけています。

ひろうする作品が決まったら、楽譜を読みこみ、歌の練習をします。その曲の成り立ちについて調べたり、音源を聞いたりすることも大切です。

オペラでは、イタリア語などの外国語が使われることが多いため、発音や意味に加え、その国の歴史や文化もしっかりと理解しなければなりません。水上さんは3回ほどイタリアに短期留学し、語学と声楽のレッスンを受けました。

オペラ「フィガロの結婚」では伯爵夫人役を務めるなどさまざまな役柄を演じ、コンサートに出演してきました。「どこまでやったら終わりというのがない世界なので、さらによいものを求めて日々自分とたたかっています」

発声練習や公演の準備など声楽家の主な仕事

あゆみ

小さいころから歌ったり、ピアノを弾いたりするのが大好きでした。習っていたピアノの先生にあこがれて、将来はピアノの先生をめざしていました。

声楽家への道を意識したのは、高校生の時です。学校の声楽の授業で先生に「歌うのに向いている」とほめられたのがきっかけでした。短期大学を声楽で受験すると決めてからは、学校の授業に加え、ピアノと歌のレッスンでかなりいそがしい毎日を過ごしました。自分の体が楽器となり、人々に感動を与えられることに声楽の魅力を感じました。

1975年
北海道生まれ
1993年
札幌大谷高校音楽コース卒業
1995年
札幌大谷短期大学(現・札幌大谷大学短期大学部)音楽科を卒業
1997年
同短大の音楽専攻科、研究科Ⅱ修了
2004年
日本オペラ振興会オペラ歌手育成部第23期生修了、藤原歌劇団に入団
2020年
任意団体を設立
やりがいや苦労

コロナで苦境、団体立ち上げる

新型コロナウイルスの感染が広がり、音楽家が舞台で歌や演奏をひろうする機会が減りました。水上さんがコンサートを開いていた会場の店も閉店しました。

なんとかしたいと考えた水上さんは去年、自分たちや若い人たちのコンサートの開催をめざす団体「音プラ☆ファミリー企画」を設立。演奏場所を探し、コンサートを企画しています。

「コロナの時代だからこそ、これまでよりも音楽でみなさんの心のいやしになりたいと思っています。それが自分の幸せで、やりがいでもあります」

クローズアップ
声楽家の水上恵理さんが練習で使う、イタリアの作曲家プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」と「トスカ」の楽譜、「トスカ」の対訳本。
今練習しているイタリアの作曲家プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」と「トスカ」の楽譜です。一番小さなものは「トスカ」の対訳本

2021.7.5付 朝日小学生新聞
構成:浴野朝香
イラスト:たなかさゆり

毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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