将来の収入が不安。どうやったら自分を支えられる?

2019.08.28 おしごとBOOK

しごとについての質問

将来、給料が少なくて、自分を支えていけなかったらどうすればいいの?(10歳・女子)

<答えてくれる人>清水克衛(しみずかつよし)さん

書店「読書のすすめ」代表、逆のものさし講主宰、NPO法人読書普及協会顧問。1995年に東京都江戸川区篠崎町で書店「読書のすすめ」を開業。著書に、『非常識な読書のすすめ』(現代書林)、『逆のものさし思考』(エイチエス)など多数。

将来の不安にとらわれる前に、考えてみたいこともありますよ


『漫画家たちの戦争 子どもたちの戦争』
著者:あすなひろし、石坂啓、小沢さとる、ちばてつや、巴里夫、永島慎二、弘兼憲史、わちさんぺい
出版社:金の星社
価格: 3200円(税別)

未来の可能性はいつも五分五分です。良いこともあれば悪いこともあります。良いことばかりが起こってほしいと思いますが、そういうわけにはいきません。

しかし、悪いことが起きたとしても、それは本人の考え方次第で良いことに変えることができます。例えば、人の死に直面したり、病気で苦しんでいる人と出会ったりすることによって、人は優しさを身につけることができ、それは人としてとても大切なことなのです。

過去、日本では戦争がありました。戦争という愚かな行為は大人が起こすことですが、過酷な状況の中で、当時の子どもたちがどういう思いで生きていたのかを感じてみましょう。

給料が多いとか少ないとか考えてみる前に、もっと命ということについて考えてみる。それから将来のことを考えてみましょう。

社会が混乱していた時代、多くの人々に支持された詩集はいかが?


『ぞうきん』
著者:河野進
出版社:幻冬舎
価格: 857円(税別)

この本は、1904年生まれの河野進さんという方が書かれた詩集です。書名にもなっている「ぞうきん」という詩を見てみましょう。

「こまった時に想い出され 用がすめば すぐに忘れられる ぞうきん 台所のすみに小さくなり むくいを知らず 朝も夜もよろこんで仕える ぞうきんになりたい」

河野さんの生きた時代は、貧困・戦争など社会の混乱は今では想像もできないほど過酷極まる時代でした。そんな時代に、多くの人々が河野さんの詩から勇気や元気を得たようです。

将来あなたのお給料が少なくて、どんなに困ったことに出くわしても、この詩にある「ぞうきん」のように、いつもむくいを求めず、人が喜んでくれるような生き方をしていれば、あなたの将来に心配は無用です。