しごとについての質問
将来ロボットに取られない仕事は何ですか?(11歳・女子)
<答えてくれる人>土井英司(どいえいじ)さん
ロボットは間違ったことも正確にやってしまう。安全管理にはやっぱり人間が必要

『JALで学んだミスをふせぐ仕事術』
著者:小林宏之
出版社:SBクリエイティブ
価格:1400円(税別)
いつの時代も、テクノロジーが進歩すると、こういう質問が出てきますね。
でも、大丈夫。ロボットの時代には、「ロボットをケアする仕事」と、「ロボットじゃできない仕事」が残るんですから。以前、ロボット開発の達人たちにロボットの問題点を聞いたら、「制御だよ」と答えてくれました。力の強いロボットが暴走すると大変、というのは何となく想像できますよね。
忘れないでほしいのは、ロボットは人間よりも正確に物事を行いますが、「間違ったことを正確にやってしまう」危険性もあるということです。だからこそ、安全管理には人間の目が必要。
そこで読んでおきたいのが、JAL(日本航空)の元パイロットが書いた、『JALで学んだミスをふせぐ仕事術』です。かつての痛ましい事故の反省から、同社では、厳しい安全管理と指導がなされています。機械を制御するのは結局人間ですから、「安全を守ること」は、人間にとって大事な仕事になるのです。
人間の感性が喜ぶ「かわいいもの」は、人間じゃなきゃ作れません

『「かわいい」のわざが世界を変える――フィールウェアという発想』
著者:下川眞季
出版社:彩流社
価格:1800円(税別)
もう一冊は、「ロボットじゃできない仕事」に関する本です。
『「かわいい」のわざが世界を変える――フィールウェアという発想』は、CCDカメラの開発、設計に携わり、社内特許表彰の最高位「特級表彰」を2度受賞、ソニーの「女性エジソン」と呼ばれた下川眞季さんが、新しい時代のモノ作りについて述べた一冊です。
シンデレラの靴のような形をした、じつはネイルをしている女性専用のプルタブ缶オープナー「CANGAL」(石田製作所)や、くるくる回りながら花びらが開く、「花開くサクラコマ」、香りが見えるお線香立て「見る香り」など、ロボットではとても作れそうにない、感性に訴えかける凝った製品ばかり。下川さんが提案するモノ作りの世界には、本当にワクワクさせられます。
21世紀は「感性」の時代。結局、人間の感性は人間が一番理解できるのですから、感性を喜ばせるモノ作りを目指してみるのもいいと思いますよ。