遊ぶことも仕事?趣味と仕事の境目はどこだろう

2019.08.28 おしごとBOOK

しごとについての質問

YouTubeを見ている親が、『これも仕事だ』と言っています。仕事と趣味の区別ってあるんですか?(16歳・男子)

<答えてくれる人>清水克衛(しみずかつよし)さん

書店「読書のすすめ」代表、逆のものさし講主宰、NPO法人読書普及協会顧問。1995年に東京都江戸川区篠崎町で書店「読書のすすめ」を開業。著書に、『非常識な読書のすすめ』(現代書林)、『逆のものさし思考』(エイチエス)など多数。

大人は人生を遊び、そしてよりよい社会を作ろうとしている のか!?


『TN君の伝記』
著者:なだいなだ
絵:司修
出版社:福音館書店
価格: 800円(税別)

大人は時々ウソをつきますから、あまり信用してはいけません(笑)。しかし、仏教には「遊行」という言葉があって、人生をもっと遊ぶように楽しめ! と言われます。だから親御さんは、あながちウソを言っていないかもしれませんね。

『TN君の伝記』は、実に面白い歴史の本ですよ。幕末明治時代のお話です。歴史の本は、英雄や偉大な人物を扱うことが多いですが、この本はTN君という実際にいた人物と庶民たちのお話なのです。

「社会建設」という言葉があります。今ではほとんど死語ですが、偉い人だけではなく、一般庶民も「より良い社会をつくろう」という意識が高く、仕事=社会を良くするためのものという思いが強かったようです。そんなTN君の働きぶり。ぜひ読んでみてね。

でも、いったいTN君とは誰のことなのでしょう。

哲学者が人間を、末人と奴隷と超人に分けて教えてくれる


『飲茶の「最強!」のニーチェ』
著者:飲茶
出版社:水王舎
価格: 1300円(税別)

ニーチェという人物を知っていますか。有名な人物ですね。

彼は人間を三つのタイプに分けます。末人と奴隷と超人です。この本に面白い例え話があったので紹介しましょう。横断歩道の渡り方です。末人は「横断歩道を渡ることに何の意味もない。でも、渡らないとトラブルが起きるから、しょうがない渡るか。あー、早く渡り終わらないかな」。次に奴隷です。「渡ることには重要な価値がある。大きく手を挙げて、周りをよくみて、すれ違う人には笑顔であいさつして渡らなくてはならない。そうしなければダメなんだ!」。そして超人「白いとこだけ踏んで渡ろう! よーし、せーの! うわあーおしいなー! よし、もう一回だ!」。もちろんニーチェは超人が一番いいと言っています。

これをみるとどうやら仕事と遊びを分けないほうがよさそうですね。でも、なんで奴隷はよくないのでしょう。不思議です。読んでみて確かめてみてください。