上手なだけじゃダメ? イラストレーターに必要なこと

2019.08.28 おしごとBOOK

しごとについての質問

将来はイラストを描く仕事がしたいと思います。どうしたらなれますか?(11歳・女子)

<答えてくれる人>児玉ひろ美(こだまひろみ)さん

公共図書館司書、JPIC(出版文化産業振興財団)読書アドバイザーの官民両方の視線から子どもの読書推進活動を展開。幼稚園・保育園から中学生までを対象にしたお話し会、ブックトークの実践とともに、教員や一般成人への講座や講演も多数。鎌倉女子大学短期学部初等科教育学科非常勤講師。新渡戸文化短期大学生活学科非常勤講師。小学館集英社プロダクション教育アドバイザー。

プロとして必要な知識が紹介されている本がおすすめ


『プロとして知りたいこと全部。イラストレーターの仕事がわかる本』
編者:グラフィック社編集部、竹永絵里
出版社:グラフィック社
価格:1500円(税別)

10歳でご自分の好きなこと、得意なことが見つかっていて、しかも仕事として考えることができる。それって、かなり幸せなことです。多くの10歳は、好きなことはいっぱいあるけれど、そのどれが将来の自分の仕事にむすびつくのかは、まだわからないのではないかと思います。そこで、将来の夢が明確なあなたにおすすめなのは『プロとして知りたいこと全部。イラストレーターの仕事がわかる本』です。

この本には、プロとして仕事をするうえで必要な、さまざまな知識や心構えがイラストを用いて具体的に紹介されています。なかには契約や税金のことなど、今はまだ興味を持てないこともあるかもしれません。目次に目を通し、興味のある項目から読んでみてもよいでしょう。

大切なことは、将来自分の力を十分に発揮できるようにするためにはどうしたらよいかということを、さまざまな方向から考えるきっかけを作ることなのです。

名コラムニスト天野祐吉さんの絵本は、教科書のような一冊


『絵くんとことばくん』
著者:天野祐吉絵:大槻あかね
出版社:福音館書店
価格:1300円(税別)

将来の夢が明確なあなたはきっと、毎日何をしていても、すべてがイラストのヒントになることでしょう。今回、ヒントの一つとしてぜひおすすめしたいのは、日本を代表する名コラムニストであった天野祐吉さんの作品『絵くんとことばくん』。

お母さんにお小遣いアップを訴えるため、4年生の主人公優太くんの頭のなかで「絵くん」と「ことばくん」がポスターを作ります。絵と言葉の力をいかに効果的に使って人の心に働きかけるか? 難しいことを易しく、易しいことを丁寧に。そしてユーモアを持って簡潔に! まるでプレゼンテーションの教科書のような一冊です。

私は図書館でたくさんの本を扱いますが、この本のようなタイプの絵本はとても珍しいと思い、イラストを描く仕事をしたいとおっしゃるあなたに、おすすめしたいと思いました。ところで、優太くんのお小遣いアップ作戦は、いったいどうなったのでしょうね?