どうせなら命令する側に。リーダーになるには?

2019.08.28 おしごと映画

しごとについての質問

どうしたら、みんなに命令されないリーダーになれるの?(11歳・男子)

<答えてくれる人>中山治美(なかやまはるみ)さん

スポーツ新聞記者を経て、フリーの映画ジャーナリストに。映画サイト「シネマトゥデイ」ほか、多数の雑誌で連載。世界の撮影スタジオ、映画祭を取材中。

世界的なリーダーを描いた作品を紹介しましょう


『スティーブ・ジョブズ』
発売元:ギャガ
販売元:ポニーキャニオン
価格:【おトク値!】DVD 1800円(税別)/Blu-ray 2500円(税別)
c2013 The Jobs Film,LLC.

『インビクタス/負けざる者たち』
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
価格:DVD  1429円(税別)/Blu-ray 2381円(税別)
Invictus c 2009 Warner Bros. Entertainment Inc. and Spyglass Entertainment Funding, LLC. Package Design & Supplementary Material Compilation c2010 Warner Bros. Entertainment Inc. Distributed by Warner Home Video. All rights reserved.

質問者はすでにリーダーなのでしょうか? それとも、命令されるのが嫌なのでリーダーになりたいのかな? いずれにしても“リーダー ”が目標なのですね。ならば、会社に入社して出世の階段を1つずつ上がっていくよりも起業するのが近道です。

その代表といえば、iPhoneなどでおなじみアップル社の共同設立者であるスティーブ・ジョブズ(1955-2011)でしょう。彼の生涯を描いた映画『スティーブ・ジョブズ』にもありますが、1976年に自宅のガレージに友人たちと集まってコンピューターのマザーボード(電子回路基板)を製造し、手売りからスタートしました。

その昔、コンピューターは企業や研究所が使用する巨大な機械。しかしジョブズは一人1台の時代の到来を予見し、1977年にパソコン(パーソナル・コンピューター)の元祖とも言えるAppleⅡを発表しました。これが大ヒットし、アップル社を世界的企業へと成長させました。抜群の発想力と知識、先見の明があったのですね。

ただいくら天才でも、優秀なリーダーになれるとは限りません。業績不振に陥った1985年、自ら起こした会社から解雇されるというまさかの展開を迎えます。その後復帰して今に続くアップル社の繁栄を築くワケですが、のちに彼は解雇経験を次のように語っています。「当時はわからなかったが、人生最良の出来事だった」と。その“最良の出来事”の詳細はぜひ映画で。そこにリーダーになるためのヒントがきっと隠されているはずです。

もう一人、南アフリカ共和国元大統領のネルソン・マンデラ(1918-2013)を参考にしましょう。彼は同国が行っていたアパルトヘイト(人種隔離政策)批判運動の急先鋒を務めたことで逮捕され、27年間投獄された経験を持ちます。アパルトヘイト撤廃の声に押されて1990年に釈放され、1994年の同国初の全人種参加選挙で大統領に選ばれました。

でも、有色人種である彼が一国のトップになったとはいえ、反目しあっていた国民を束ねるのは簡単ではありません。そこで秘策を講じます。それを描いたのが『インビクタス/負けざる者たち』です。1995年にラグビーW杯が同国で行われた際のこと、白人の富裕層のスポーツとしてアパルトヘイトの象徴であった自国のラグビーチーム・ボカを、国民皆で応援しようと呼びかけます。しかも「皆の意識を変えるためには、まず自分が変わらないと」と、自分たちを虐げていた人たちに率先して友好を試みるのです。

民衆の支持を得てリーダーとなり、人の手本となるべき行動をとる――。まるでジョブズとは対極です。でも2人には共通点があることが、映画を見れば分かります。1つが、人を説得する言葉を持っていること。もう1つが、新しい未来を作ろうとする強い意思です。そこで改めて、リーダーを目指すあなたへ伝えたい言葉があります。

少年よ、大志を抱け!(by クラーク博士)