重たいロケットが宇宙まで飛べるのはなぜ?

おしごと年鑑 未来を生み出す科学技術のお仕事 2025年度
三菱重工業株式会社

人工衛星や探査機が積まれた大きく重たいロケットをどのように宇宙まで飛ばすのか、そのヒミツを三菱重工に教えてもらったよ!

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大きなパワーのあるエンジンと大量の燃料で重たいロケットを飛ばすことができるんだ!

ロケットのヒミツを大解剖

ロケットは、燃料となる大量の液体水素を液体酸素で燃やして発生させた3000度のガス(水蒸気)の力で打ち上げられます。このような力を「推力(すいりょく)」と言います。ロケットのエンジン1基で140tの推力があります。エンジンとブースターの数は、打ち上げる人工衛星の重さや打ち上げたい軌道によって変わります。

ヒミツ1

大量の燃料!

ロケット打ち上げに必要な大きな推力を出すためには、大量の燃料を燃やす必要があります。そのためロケットの中身の90%が燃料です。1秒間に2Lのペットボトル約400本分の燃料が燃やされます。

燃料が入るロケットの機体

燃料が入るロケットの機体

ロケットって90%が燃料なんだポン!

ガラポン
ヒミツ2

厚さ2ミリの軽いボディー!!

ロケット本体が軽いほど燃料を節約できるので、軽く造ることはとても重要! ボディーのアルミ板をアイソグリッド構造という厚さ2㎜の特殊な形に加工し、強度を保ちながら軽くする工夫をしています。

アイソグリッド構造の板

アイソグリッド構造の板

ヒミツ3

熱から燃料を守る!

燃料には、マイナス253度の液体水素とマイナス183度の液体酸素が使われます。どちらも非常に低温で蒸発しやすいため、アイソグリッド構造のボディーには断熱材(黄色の部分)が吹き付けられています。

吹き付け直後の断熱材は白っぽく、紫外線が当たると化学反応によってオレンジ色に変わる

吹き付け直後の断熱材は白っぽく、
紫外線が当たると化学反応によってオレンジ色に変わる

日本が誇る 次世代の大型基幹ロケット H3 ロケット

全長 57m 直径 5.2m 重さ 最大575t

H3 ロケット
フェアリング
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フェアリング

ロケットが大気中を飛行するときに受ける振動や摩擦熱から、搭載された人工衛星や探査機を守るカバー。

人工衛星

ロケットを打ち上げる目的とは?

ロケットの仕事は、人工衛星や探査機を宇宙に運ぶこと。ただ運ぶだけじゃなく、衛星軌道や宇宙ステーションなどの決められた場所に、確実に運ぶことだよ!

第2段ロケット
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第2段ロケット

第1段ロケットの燃焼が終わって切り離された後、さらに空気抵抗のない無重力の空間を飛ぶための燃料が入っている。

第1段ロケット
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第1段ロケット

ロケットを地面から離し、空に向かって加速させる部分。大きなロケットを、地上から打ち上げて地球の重力を振り切るために必要な大量の燃料が入っているため、いちばん大きい。

固体ロケットブースター
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固体ロケットブースター

第1段ロケットの加速を手助けする。重たいロケットを地上から一気に持ち上げるため、メインエンジンと固体ブースターが力を合わせて一気に上昇させる。

メインエンジン
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メインエンジン

液体燃料を燃やして発生させた水蒸気のガスが噴き出す。

ガラポン

煙は水蒸気。
環境にやさしいポン!

ロケットの部品は約100万個!

ロケットは、約100万個の部品でできている。いろいろなメーカーで造られた部品を上図の❶~❹の単位で組み立てて、発射場の種子島に船で運んだあと、現地で完成させる。約1年半かけて造られたロケットは打ち上げから約30分で役割を果たし、その一生を終えるのだ。

種子島の打ち上げ場所

種子島の打ち上げ場所

「ここをクリック」からロケットの一生を見てみるポン!

ガラポン

ロケットを造って、打ち上げています!

答えてくれた人

三菱重工業株式会社 宇宙事業部 技術部
構造・装備設計課 丸谷恭平さん

大きなロケットの打ち上げには、たくさんの人々が関わり、みんなの思いが詰まっています。私は、ロケット本体の設計から、ロケットを打ち上げるための設備の設計まで、幅広く担当しています。
ロケットは、一度飛ばしたらもとに戻すことができない一発勝負です。一つのトラブルが大きな失敗につながる危険があるため、打ち上げまで念入りに、魂を込めて準備・確認を行っています。そうやって、自分が考え、工夫したものが形になって、ロケットの打ち上げが成功した時には、とても大きな達成感が得られますよ。

打ち上げ成功時の達成感はひとしおです!

答えてくれた人