

倉田浩さん
聖マリアンナ医科大学病院(神奈川県川崎市)医師の判断待たず できる処置も
看護師のおもな仕事は、患者の世話をしたり、診療の補助をしたりすることです。診療の補助をするときは、医師の具体的な指示を受けなければなりません。しかし、「特定看護師」は、あらかじめ医師が作った手順書をもとに、診療補助業務(特定行為)をすることができます。
特定行為には、脱水症状に対する輸液の補正、気管カニューレ(気道を確保するためのチューブ)の交換などがあります。医師の判断を待たずに処置できます。そのため、時間を短縮でき、患者の症状の悪化を防ぐことにつながります。
倉田さんは、病院の集中治療室(ICU)で働いています。医師、看護師、理学療法士など他の職員と協力しながら、おもに心臓と血管の病気を治療する循環器内科の入院患者を担当しています。
例えば、患者の血圧を測定したときに、数値が低下していたとします。以前は、医師に報告して指示をあおいでいました。
特定看護師になってからは、医師が来る前に手順書をもとに、身体診察や超音波の検査を行っています。採血データなどを見て自分で脱水か判断して、水分をあたえるなどの特定行為ができるようになりました。
- 1985年
- 神奈川県生まれ
- 小学校時代
- 地域のサッカーチームに入った。ポジションはMF。5年と6年のときは、プロサッカークラブ・東京ヴェルディのジュニアチームに所属していた。「サッカー選手にあこがれていた」
- 中学校時代
- 別のサッカーチームに入り、練習にはげんだ。「サッカーを通して協調性や判断力が養われた」
- 高校時代
- 神奈川県内の高校に進学。サッカー部に入った。サッカー選手以外の進路を考えるようになり、看護師の仕事をめざす。看護師の母親から話を聞いて「患者さんの役に立ちたいと思った」
- 専門学校時代
- 聖マリアンナ医科大学看護専門学校に進学。その後、看護師になるための国家試験に合格し、免許を取得
- 2007年
- 聖マリアンナ医科大学病院に入職。特定看護師になるための研修を20年から受ける。21年春から特定看護師として働く
医師と看護師の「橋わたし役」
ICUは、病状が深刻で、命に関わるような状態の患者が入院しています。その中で一般病棟にうつり、退院する患者がいます。「元気になった姿を見られたときは、看護師になってよかったと思います」
特定看護師になるための研修制度が始まってから10年たちます。しかし、研修をおえた人は約1万人にとどまっています。倉田さんは、人数が増えることを願っています。
「特定看護師は、医師と看護師の『橋わたし役』のような存在になれると思うし、看護師の能力向上につながると考えています」
向いている人は?
特定看護師になりたい人は、次のことを心がけてください。
①謙虚な気持ち 看護の仕事は複数で行うことが少なくありません。信頼関係を築くことが大切です。自分の能力を過大評価せず、他の人の意見を聞くようにしましょう
②向上心 新しい知識や技術を得ることに努めましょう。わからないことは調べるなどしてください。患者さんの状態に合わせたケアができるようにします
なるためには?
厚生労働大臣が認定する「指定研修機関」で行われる特定行為研修を受けなければなりません。研修を受けられるのは、看護師免許を持ち、おおむね3~5年の実務経験がある看護師です。特定行為は、呼吸器や循環器などに関連する21区分38行為があります。
日本には約136万人(2024年末現在)の看護師がいますが、うち男性は約11万人。特定行為の研修をおえた人は1万3887人(2025年9月現在)。
必要な道具は?
いつも欠かせない聴診器。患者さんの体内で発生する音を聴くための医療器具で、状態をしっかり理解するために役立てます。心臓の動きによって出る「心音」などを確かめます。

2025.10. 6付 朝日小学生新聞
構成・前田奈津子
毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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