留学カウンセラー のしごと

2025.12.26 紹介します○○のしごと
留学カウンセラーの太田英基さん
「留学希望者本人だけでなく、その親からの相談も受けています」と話す太田英基さん=7月、東京都渋谷区 太田さん提供
太田英基さん

太田英基さん

スクールウィズ代表取締役

海外での学び 案内し、支える

新型コロナウイルスが流行した影響で減っていた留学が、再び増えています。進学や語学力向上のため、ビジネスのため……目的は人それぞれ。大学留学や、短期の語学留学など、タイプもいろいろあります。そんな留学の相談に乗って、目的に合った計画や留学先を案内するのが留学カウンセラーです。

相談に乗る時はまず、留学の目的を聞きます。そして、目的に合う留学のタイプを選び、行き先となる国や大学、ホームステイ先などを選びます。

加えて、現地の治安やどんな国かを教えます。語学留学なら語学力向上の目標を立て、お金の不安があればその相談に乗ります。「留学先でトラブルが起きれば、話し合いもします」

太田さんは、起業して海外の人たちと接する中で、「日本の会社は良いものを作っても、英語力が低いせいで世界に良さが伝わらず、損をしている」と感じたといいます。そこで語学留学を決心。もともと英語は大の苦手だったので「最初の2か月は地獄でした」が、「少しずつ話せるようになってくると楽しさが勝つようになりました」。

スクールウィズでは、留学が決まってから渡航するまでの語学学習を手助けする英語スクールなども開設しています。

あゆみ

1985年
宮城県生まれ
小学校時代
近所の人が開いていた英会話教室に通ったが、身につかなかった
中学・高校時代
「授業をまじめに聞くのはダサい、とかんちがいしていた」。東北学院高校3年の実力試験で英語は4点だった
大学時代~
中央大学商学部へ進学。コピー用紙の裏を広告わくにして売り、コピー代などを無料にするサービスを提供する会社を起業し、注目される
2009年
有名な経営コンサルタントの横山禎徳さんから、世界で活躍する人の話を聞く機会があった。「自分は世界を知らない」とはずかしく感じた
2010年
会社をやめ、世界を知るためにフィリピンに語学留学へ。その後、約2年間で50か国を旅した
2013年~
留学は語学を学ぶのに一番いいと、スクールウィズを設立。相談を受けたお客さんは、のべ7万人をこえる
やりがいや苦労

世界に羽ばたく人を増やす

相談では、「この語学力では留学は難しいですか?」とよく聞かれるそうです。「みなさん不安なんですよね。留学のタイプにもよりますが、語学留学であれば、初心者レベルでまったく問題ありません。先に現地に行ってから勉強し、海外の大学に進学する人もいます」

 太田さんは大学生時代に起業し、英語力の大切さを実感しました。まず3か月、フィリピンに語学留学して英語を学んだあと、世界50か国を旅して回ったそうです。

相談者の不安を解消し、世界を舞台にする人を増やすことが、やりがいであり目標です。

思い出のしごと

現地にうまくなじめず悩んでいる留学生がいました。母親から「『帰りたい』と娘が言っている」と連絡があり、私はその子と電話で対話しました。ていねいに話を聞くと、「がんばりたい気持ちもある」と彼女は言います。その心があるなら、と私ははげまし続けました。

つらい気持ちになる場面が留学にはあります。でも、それを乗りこえる経験こそが留学の一番の成果です。最終的に、彼女は留学をやりとげました。

なるためには?

JAOS(海外留学協議会)による留学カウンセラー認定制度があり、資格を持っていると信頼されます。試験では語学力と留学に関する知識が問われ、カウンセリングの実技テストもあります。

スクールウィズの集合写真
スクールウィズの設立10周年を記念し、社員で記念撮影=2023年

おしごとあるある

「どうやったら英語力がのびますか?」とよく聞かれます。特に留学経験を生かすなら、日本にいる時はとにかく学習に時間を使い、留学先では「口に出す」ことに専念する、みたいな意識で学んだ方がいいと思います。

留学前には、中学校レベルの英文法や単語でいいので再学習してほしいです。たくさん仕入れた「食材」を、現地で「調理」する(覚えた言葉を試す)姿勢を続けると、語学力はのびます。

2025.9.8付 朝日小学生新聞
構成・正木伸城(ライター)

毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
朝日小学生新聞のホームページはこちら