

藤原理央さん
丸紅 電力・インフラ事業第三部ビジネスで社会の力に
商社はかつて、外国から食べ物を輸入したり、日本でつくった自動車を海外に売ったりと、日本と海外で「貿易」をする仕事を中心にしていました。
ただ近年は、海外と直接取引をする会社が多くなっています。そこで商社が力を入れているのが、国内外の会社や事業にお金を出し、運営にかかわる仕事です。
藤原さんは、アメリカ(米国)やメキシコの電力にまつわるプロジェクトを担当してきました。メキシコでは2020年に、現地の企業と共同でお金を出し合い、太陽光パネルをつけることをサポートする会社をつくりました。商業施設や工場の屋根などに太陽光パネルをつけて、発電した電力を売っています。
太陽光パネルをつけてもらう企業を探すのも仕事です。ときには社内のほかのチームから、現地でつながりのある企業を紹介してもらい、契約をもらうこともあります。「世界中にビジネスのネットワークがあることが商社の強みです」
お客さんからは「太陽光発電を導入できてうれしい」という声が寄せられることも。太陽光といった環境にやさしい再生可能エネルギーが注目されるいま、「社会に役立っている実感が得られる仕事です」と話します。
- 1996年
- 東京都生まれ
- 小学校時代
- スポーツが好きで、習いごとの水泳に熱中。中学、高校でもスポーツに打ちこもうと、中学受験をした
- 中学・高校時代
- 慶応義塾湘南藤沢中等部・高等部に進学。水泳部に入り、バタフライと個人メドレーが得意種目だった。学校には帰国子女が多く、英語を流ちょうに話す姿にあこがれを持つように。中学3年のときにシンガポール、高校2年のときにイギリスへ短期留学をした
- 大学時代
- お金の動きに興味があり、慶応義塾大学経済学部に進学。水泳の飛びこみ競技を始める。3年生のときに念願の全国大会に出場し、4年生のときに入賞した
- 2019年~
- 丸紅に入り、メキシコでの太陽光発電プロジェクトのほか、米国でのガス火力発電、風力発電などを担当。4年目の2022年から米国に赴任。今年3月に帰国し、4月からは電力に加え、ガスや石油なども担当している
喜びを分かち合う仲間がいる
海外ではたらく仕事につきたいと思っていた藤原さん。入社1年目でメキシコに3か月ほど出張し、4年目で米国・ニューヨークへの赴任をかなえました。
仕事をする仲間には、文化や仕事観が日本と異なる海外のスタッフも多くいます。そのため、メールだけでなく電話でも説明するなど、ていねいにコミュニケーションをとることを心がけているそうです。
契約がとれたり、発電所が完成したりといった大きなイベントがあったときには、メンバー全員で喜びを分かち合います。「チームではたらけることにうれしさとやりがいを感じます」
おしごとあるある
海外出張や、海外ではたらいている人が多いので、会社にはさまざまな国のおみやげが並んでいます。世界中のおみやげにくわしくなるかもしれません。
担当している電力でいうと、旅行先で発電所を目にすると、太陽光パネルや風車が並んでいる数や、その大きさが気になってしまいます。ネットの地図を見ながら、「この屋根には太陽光パネルが何枚置けるかな……」などと考えてしまうこともよくあります。
なるためには?
総合商社はさまざまな分野をあつかうので、必ず興味のあるものにかかわれるわけではありません。そのため「任せられた仕事にどれだけおもしろさを見つけられるか」が大切です。自分が苦手なものにも、おもしろさを見つけてみようとする姿勢を身につけてみてください。
日々のニュースも、ぜひチェックを。世界の国や地域がかかえる課題について知ると、将来、仕事をするときのアイデアに役立つと思います。
思い出のしごと
メキシコで会社をつくったときには、必要な書類をそろえることや、採用などに取り組みました。大きな仕事を任せてもらい、貴重な経験になりました。

2025.8.11付 朝日小学生新聞
構成・佐藤美咲
毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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