作詞作曲家 のしごと

2024.12.12 紹介します○○のしごと

作詞作曲家の岡嶋かな多さん
最近では、2024年7月にリリースされたSixTONES(ストーンズ)のニューシングル収録曲「SPICY(スパイシー)」を手がけた岡嶋さん=東京都内のスタジオ
作詞作曲家の岡嶋かな多さん

岡嶋かな多さん

MUSIC FOR MUSIC

だれかと共に生きる曲を

歌詞や曲の提供は500曲以上。オリコンランキング1位は合わせて150回をこえます。SMAPや安室奈美恵さん、BTS、TWICE、なにわ男子などの楽曲も手がけてきました。

作詞はパソコンに向かって1人で行うことが多いそうです。曲を聴いて言葉をつむぐ作業のくり返し。「派手なイメージかもしれませんが、やっていることは結構地味です(笑い)」。一方、作曲の多くは人との共同作業です。岡嶋さんは主にメロディーを担当。伴奏部分は別の人がにないます。

もともとアーティストになりたかった岡嶋さん。なかなか売れず、なやんでいました。そんな中、先輩の作曲家にたのまれて「曲につける仮の歌詞」を作ったことで人生に変化が。歌詞がレコード会社の人の目にとまり、作詞の仕事が増え始めたのです。

「これが私の道かも!と少しずつ思い始めました」

やがて有名アーティストの曲も担当するようになります。2017年には、作詞作曲した三浦大知さんの「EXCITE」でレコード大賞優秀作品賞を受賞しました。高校に進学しなかった「中卒の作詞作曲家」として知られ、テレビやラジオにも多数出演。大学や専門学校で講師をすることもあります。

あゆみ

小学校時代まで
青森県黒石市生まれ。チャンバラをして遊ぶようなわんぱく少女でした
中学校時代
1年生の時、カラオケで歌をほめられて「その気」に。高校には進学せず、シンガー・ソングライターになりました
2005年
20歳の時に作曲家の先輩にたのまれて書いた歌詞がレコード会社に評価され、作詞の道を歩み始めました
2009年
安室奈美恵さんの曲を担当。「StealMyNight」がリリースされてから、業界内で少しずつ知られるようになりました
2019年
作詞作曲したBABYMETALの「DADADANCE(feat.TakMatsumoto)」を収録したアルバムが、アメリカのビルボードロックチャートでアジアアーティスト初の1位を獲得
現在
2023年に『夢の叶え方はひとつじゃない 私は、中卒作詞作曲家』を出版。活躍の場を広げています
やりがいや苦労

「とどいている」を実感する喜び

楽しい毎日ですが、「だれかに楽曲がとどいている」と実感できる機会があまりないそうです。「だから、担当させていただいた曲がライブで流れた瞬間、会場がわいて、歌い、おどり、涙している姿を見ると、音楽をやってよかった! 自分の曲がみなさんの人生と共に生きているんだ!と、感動します」

若いころ、未来に希望を感じられなかった時もありました。でも今は「人生、意外と悪くない」と思っています。「可能性なんて、どこにあるかわかりません。だからこそ、いろんな人と話して、いろいろ経験して、ひたむきに生きてほしいです」

なるためには?

作詞作曲家になるのに決まった形はありません。私はボーカルスクールで理論を学びましたが、多くのことは業界に関わる中で学びました。音楽大学に行くことも絶対に必要ではないと思います。

ただ、作詞作曲で食べていくには仕事をたくさん得る必要があります。大切なのは、目の前の仕事をひたむきにやること。その姿勢がだれかの心に「この人に作詞作曲してもらいたい」という気持ちをともすのです。

必要な道具は?

ヘッドホンは出先や海外、機内など、あらゆるところで作詞作曲のお供をしてくれる相棒です。作詞になやむ時も、一体になるような感覚で曲を聴きます。

作詞作曲家の岡嶋かな多さんが愛用するヘッドフォン

おしごとあるある

ライブに行くと、どうしても「仕事の耳と目」でパフォーマンスを見てしまうことがあります。街を歩いていても「どういう場で、どんな曲が流れているか」「ここではそういう聴こえ方になるのか」といった分析をしてしまいます。

友だちと話していても「今のフレーズいいねぇ、作詞に使えそう」と思ったり……。これは私だけかもしれませんが、職業病ですよね(笑い)。でも、そのすべてを楽しんでいます。

2024.10.7付 朝日小学生新聞
構成・正木伸城(ライター)

毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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