隅悠多さん
ポラスハウジング協同組合(埼玉県草加市)確かな技術で住む人を笑顔に
大工は、設計図をもとに建物を建てたり、修理したりする職人のことです。家を建てる現場では、地盤の工事などが終わると、大工が中心になって家の骨組みをつくり、外壁や内装といった工事をしていきます。
隅さんは、分譲住宅や注文住宅を手がける「ポラス」のグループ会社で働いています。
家をつくる上で、重要な仕事が、上棟作業です。柱や梁などを組み合わせて、家をささえる骨組みを仕上げることです。「柱がまっすぐ立っているか」「全体を見てゆがんだところはないか」などを確かめます。
「1か所を直すとちがう場所がゆがむことがあります。そこを直すとまた別の場所が……。うまくいくまでくり返すことが少なくありません」
玄関の「かまち」と呼ばれる部分も作業が難しいといいます。家に上がる段差があるところで、「家の顔」ともなります。材料のつなぎ目に、すき間がないように取りつけるのは簡単ではありません。やり直すと材料を発注しなおさなければならないこともあるといいます。
「最初は1日以上かかることがありましたが、先輩の指導を受けたり、経験を積んだりしていくうちに約1時間でできるようになりました」
- 1989年
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青森県生まれ
- 小学校時代
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家族が工務店を経営していました。父親が大工として働く様子を見ることもあり、「家をつくれるなんてすごい」と感じていました。体を動かすのが好きで、野球をよくしました。家では、ゲームをして遊んでいました
- 中学校時代
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バレーボール部に所属。アタックなどが決まるとうれしかったです
- 高校時代
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「大工になりたい」という気持ちがあり、青森県立南部工業高校(その後、八戸工業高校に統合)の建築科に進学しました。建築の基礎知識を学び、製図や実習の時間もありました。学んだことを生かせそうなポラスのグループ会社で働くことを決めました
- 社会人に
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2008年、ポラスハウジング協同組合に入社。「ポラス建築技術訓練校」で、大工として働くための技能を身につけました。その後、建築現場で経験を積み、現在は、大工のリーダーの1人として住宅などを手がけています
住み始めてからのこと 考えて提案
会社ではお客さんへアンケートを実施しています。反応があったときは、うれしいといいます。印象に残っているのは、住宅につけるコンセントの場所を増やすかどうかまよっていたお客さんの回答。隅さんは「後で増やすより、今つけておいたほうがいい」と伝えました。隅さんの対応が「よかった」というアンケートの回答を見て「細かいことまで覚えてくれていた。お客さまに喜んでもらえてうれしかったです」とふり返ります。
大変なのは、天気の影響を受けやすいこと。夏の現場は暑いので、体調管理に気を配っているそうです。
向いている人は?
大工に向いているのは次のような強みのある人だと思います。
①建築に興味がある…部屋の配置を示す間取りなどを見るのが多い仕事です。
②集中力がある…細かい仕事が多いので、一つのことに集中して取り組む姿勢が必要です。
③ものづくりが好き…プラモデルをつくったり、たなをつくったりと、自分の手で仕上げるのが「楽しい」と感じられることが大切です。
なるためには?
大工になるには、住宅メーカーや工務店に就職したり、独立している大工に弟子入りして修業を積んで技能を身につけたりするなどの道があります。 大工を養成する専門学校で大工に必要な基礎知識を身につけてから、就職先を探すのもいいかもしれません。 「建築大工技能士」などの資格を取得していると、仕事に役立つでしょう。建築大工技能士は、木造建築物工事に必要な技能資格として認められています。
必要な道具は?
寸法を測るメジャーや、くぎなどを打ちこむ玄翁(金づちの一種)などを使います。道具を点検したり、安全に注意しながら使ったりすることが大切です。
2023.8.21付 朝日小学生新聞
構成・前田奈津子
毎週月曜連載中の「教えて! 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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