松本佳澄さん
株式会社JALエンジニアリング 羽田航空機整備センター 運航整備部運航整備技術室空の安全守る 全集中の40分
松本さんは空港ターミナルで運航整備を担当しています。飛行機が着いてからまた飛び立つまでの40分間が勝負です。
着陸と同時に機体の周りを歩いて点検。鳥などとぶつかってへこみができていないか、タイヤにブレーキをかけるための油がもれていないかなどを確認します。見るだけでなく、音を聞いたり、においをかいだり、手でさわったりもします。機内では座席のライトやトイレの設備などを点検します。
タイヤがすり減って取りかえるときには、応援をたのんで100キロ以上あるタイヤを運び、3人がかりで取り付けます。
「1人でやっているようで、実際にはチームで動いています。相談や助けを求められる仲間がいるのは大きい。力を合わせて安全に飛び立ったときは本当にうれしい」といいます。
勤務は朝6時からの早番、夜8時以降にスタートする夜勤など4パターンあります。0歳と2歳の子どもがいる松本さんは現在、これらの時間帯とは別の午前9時~午後4時に働いています。1日に3、4機を担当します。
入社当時は、整備士のうち女性は1割ほどでしたが、最近の新入社員では2割に増えているそうです。
- 1988年
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大阪府生まれ
- 小学校時代
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機械いじりが好きでした。目覚まし時計をばらしてみたり、電子レンジのスイッチやそうじ機を直したりしていました
- 中学・高校時代
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中学校のときは陸上部。高校は芸術科目の選択で「工芸」を選び、木工や革細工に取り組みました。手を動かすことが楽しかったといいます。「大学を卒業しても、勉強したことと関係ない仕事に就くことは多い。目標がはっきりしないなかで4年間学ぶよりも、職業にすぐつながる勉強をするほうが自分には向いている」と考え、進路を選びました
- 専門学校時代
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大阪航空専門学校(大阪府堺市)の航空整備士学科に進学。学校で学ぶのは小型機の整備が中心でした
- 現在
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専門学校卒業と同時に就職。格納庫などで機体全体を点検する「重整備」を8年間担当。航空整備士の国家資格を取ったあと、現在の部署へ
責任背負い、納得のいく整備を
点検は異常がなくて当たり前、何かあればすぐに対応を考えます。
どの部品が必要で、応援は何人いり、時間の見通しはどれくらいか。関係する人たちとの調整は基本的に1人でします。
「何があっても落ち着いていられるようにしています。この航空機の責任を持つのは私。私が納得いく時間をかけて整備をしなくてはと考えます」
整備が終わると、「安心していってらっしゃいませ」と、手をふって離陸を見送ります。気づいたお客さんが手をふってくれると、思わずふり返す手に力が入るといいます。
向いている人は?
JALエンジニアリングの整備士の採用試験は、航空専門学校だけでなく高等専門学校や理系、文系の大学を卒業しても受けられます。総務部の広報担当者は、航空整備士に向くのは「何か必ず不具合がある」という見方で確認をする人、「このくらいならだいじょうぶ」と思わずに連絡や修正をする人だといいます。疑問を持って解決する力や、チームプレーができることも大切だそうです。
必要な道具は?
フラッシュライト(左)とチェンジドライバー(右)。小さなライトですが、光は20メートルほど先まで届きます。ドライバーは両はしがプラスとマイナスになっていて、差しかえて使います。
もっと知るには
『現役航空整備士が書いたかなりマニアックな飛行機豆知識』(文・イラスト/中村惣一、編/日本航空技術協会) 現役の整備士が飛行機のしくみを解説した本。子ども向けではありませんが、手がきの図がたくさんあり、飛行機好きの人はながめるだけでも楽しそう。この本で勉強する整備士も多いといいます。
2023.6.17付 朝日小学生新聞
構成・中田美和子
毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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