石垣博将さん
東日本高速道路株式会社 関東支社交通技術課 (埼玉県さいたま市)データを分析 スムーズな通行へ
東日本高速道路はNEXCO(ネクスコ)東日本とも呼ばれます。渋滞予報士は高速道路での渋滞がいつ、どこで、どれくらい起こるか予測し、発信する仕事です。車を運転する人たちに情報を届け、渋滞をさけて利用してもらうことは、渋滞を減らすことにもつながるからです。
石垣さんは日ごろから渋滞予測をしていますが、ゴールデンウィークやお盆などの予測はいつもより長い半年以上をかけます。ポイントは「過去と最近のデータを組み合わせること」です。
データは過去3年ほどの渋滞実績を使います。新しい道路ができていないか、大きなイベントの予定はないかなど、混雑に影響しそうな最新の情報と合わせて分析します。
予測は主にインターネットやサービスエリアなどで流れますが、石垣さんはメディアの取材に応じることもあります。渋滞が多い場所やその原因をつきとめ、減らすための方法を考えることも役割です。
ゴールデンウィークは毎年、大きな渋滞が起こります。ゆるやかな上り坂で速度を落とさないことが大事ですが、一番の対策は「渋滞のピークをさけること」です。ただし、道路状況は常に変わるため、「最新の交通情報を確認してほしい」と話します。
- 1990年
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静岡県生まれ
- 中学校時代
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フィールドホッケー部に入りました。部活で3か月に1回ほど高速道路を利用していたので、当時から身近な存在でした
- 高校時代
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生まれ育った静岡県では近い将来、大きな地震が起こるといわれています。その影響もあり防災や、道路、橋といった社会の基盤に対して興味がわきました。勉強は数学が得意でした
- 大学時代
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建物の構造や防災を考える土木工学を学びました。高速道路の仕事をめざしたきっかけは、2011年に起きた東日本大震災です。地震の後、短期間で道路を直して、緊急輸送できるようにしたNEXCO東日本に感動し、入社を希望しました
- 現在
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大学院を卒業後、東日本高速道路(本社・東京都千代田区)に入社。高速道路の建設工事や改良工事を経験し、21年6月から渋滞予報士を務めています
成果が数値で表れる
渋滞の予測や、減らす対策の成果は、数値として表れます。石垣さんは「渋滞が減ったり、最大で流せる交通量が増えたりするとうれしいです」と話します。公表した予測のおかげで「スムーズな旅行ができたよ」と利用者から直接声をかけられることもあるそうです。
やりがいを感じるのは仕事中だけではありません。「友人と車で旅行に行ったときに渋滞予測を見せ、結果的に早く移動することができました」。日々の生活でも仕事が生きる場面があり、身近な人から感謝されることも大きなやりがいにつながっています。
似ているしごと
長野県や神奈川県の一部から三重県周辺はNEXCO中日本が、滋賀県から九州にかけてはNEXCO西日本が担当。それぞれに渋滞予測をする人がいます(地図は「NEXCO東日本レポート2022」から)。
なるためには?
特別な資格は必要ないですが、専門知識が必要です。土木工学や、渋滞が起こるメカニズムを学ぶ交通工学を勉強しておくと役に立ちます。データを分析したり数字をグラフで表したりするので、算数や数学は勉強しておくといいです。最新の情報を集める力も大切です。
高速道路を実際に走ることで分かることもあります。サービスエリアや標識、渋滞に注目してみるなど、いろいろな視点でドライブに行ってみてください。
おしごとあるある
仕事では「キロポスト」という言葉をよく使います。高速道路の住所のようなものです。写真は東北自動車道川口ジャンクションから27.7キロ先にある地点、埼玉県久喜市付近を指しています(写真はNEXCO東日本提供)。
※2023年4月24日時点の情報です。
2023.4.24付 朝日小学生新聞
構成・正木皓二郎
毎週月曜連載中の「教えて! 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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