関根豊子さん
株式会社LEOC(東京都千代田区)首都圏BI業務支援部「食」で支える選手の活躍
公認スポーツ栄養士は、スポーツ選手の栄養や食事指導の専門家の資格です。高齢者がくらす施設や社員食堂などに食事を提供するLEOCで、女子サッカーチームなどにむけて栄養サポートをしています。
まず初めに選手が何を食べているのかを調べます。いつまでに筋力をつけたいのか、体重を減らしたいのかなど選手の声を聞いて食事のアドバイスをします。
それぞれの選手に応じて提案するため相手の人柄を引き出すことが大切です。料理をしない人には、家の近くにある飲食店を調べてそこのメニューをすすめます。いま何が流行していて、選手がどんなことに興味があるのかを知ることも効果的な提案につながるといいます。
働き始めたころは苦労もありました。「年上で経験豊かな人への指導は大変でした。正しいことを伝えているつもりでも、若くてまだ信頼されず、なかなか聞いてもらえませんでした」。相手に合った接し方を心がけるようになったそうです。
大切なことは「日々の食事にしっかり向き合う意識」です。監督が代わるとチームの方針が急に変わることもあります。変化に対応できる「柔軟性」も求められるといいます。
- 1972年
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茨城県生まれ
- 小学校時代
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母親の料理を手伝い、自分でも料理をしていた
- 中学校時代
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吹奏楽部に入り、フルートを担当。食べることが好きだった
- 高校時代
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吹奏楽を続けながらバドミントン部のマネジャーに。合宿では部員全員の食事をつくった。料理をふるまう楽しさを感じたことも管理栄養士をめざすきっかけに
- 大学時代
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東京農業大学に進学し管理栄養士に。食べ物と体の関係に興味をもち、スポーツの現場を目標にする
- 大学院時代
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体について深く学びたいと筑波大学大学院に進学
- 現在
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研究所での仕事やフリーランスを経験し2007年、いまのLEOCに入る。13年に公認スポーツ栄養士に。アスリートの栄養サポートやセミナーの講師などをしている
体も心も食べ物で変えられる
「筋肉がついた、体がしぼれた、速く走ることができたなど、選手の体がねらった通りに変わったときには『よっしゃ』と、すごくやりがいを感じます」と話します。
成績がのびなやんでいた選手が栄養サポートの後、自己ベストの記録を出したこともあります。しっかりした食事をすすめると、食べた選手は心も元気になるそうです。
スポーツ栄養士の一番の魅力をこう話します。「人間の体が変わっていくのを見られるところです。人の体は食べ物で変わるんだなあとしみじみ思います」
なるためには?
公認スポーツ栄養士は管理栄養士の人が講習をうけ、試験に合格するとなれます。仕事では日本全国や世界の人たちとかかわることがあります。理科はもちろん、英語や歴史、地理、国語も大切です。
スーパーマーケットめぐりもおすすめします。どんな調味料や調理器具、新しい商品があるのかが分かります。旅行に行った先のスーパーと家の近くでは商品もちがうでしょう。食材の値段や栄養を比べるのも勉強になります。
つながり多いのは
部活動の寮や高齢者がくらす施設などへの食事をつくる社内の調理師とつながりがあります。体づくりに役立つ飲み物や食べ物を売る会社とかかわることも多いです。
おしごとあるある
選手たちがご飯を食べている時間、私たちはご飯を食べられません。朝食から夕食まで、選手がなにをどれくらい食べているのか様子を見ながら「最近どう?」などとコミュニケーションをとっているからです。大変な面でもあります……。
アスリートと接しているので、体格のいい人を見るとどんなスポーツをしているかなんとなく分かります。「野球じゃなくてラグビーかな? いやいや、ラクロスかも」といったように(笑い)。
2023.8.7付 朝日小学生新聞
構成・正木皓二郎
毎週月曜連載中の「教えて! 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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