僧侶 のしごと

2022.07.05 紹介します○○のしごと

浄土真宗本願寺派、築地本願寺(東京都中央区)の僧侶、小室典証さん
築地本願寺前に立つ小室さん。「典証(てんしょう)」は仏様の弟子とちかいをたてたときに授けられた名前です=2021年9月、東京都中央区
浄土真宗本願寺派、築地本願寺(東京都中央区)の僧侶、小室典証さん

小室典証さん

浄土真宗本願寺派 築地本願寺(東京都中央区)

仏様の教えで「心の支え」に

僧侶はお坊さんとも呼ばれます。仕事は、仏教行事を行い、仏様の教えを広めることです。葬式などでお経(仏教の教えをまとめた文章)を読んだり、仏教の話を一般の人にしたりします。お寺のそうじや人の相談にのること、事務作業なども仕事です。

「朝が早いのは想像通りかもしれません。意外と体力勝負の仕事が多いです」と小室さんは話します。

築地本願寺では朝、僧侶がお経を読むなどする「お勤め」があります。小室さんはお勤めの担当の日は午前5時半に出勤し、仕事が終わるのは午後3時半です。数十キロもある仏具を持ち上げたり手入れをしたりすることもあり、「体が資本」だそうです。

お寺や宗派の学校で仏教を学ぶなどして認められると、僧侶になれます。日本では昔に比べると、宗教にふれる機会は少なくなっています。しかし、不安やなやみをかかえて生活しているのは昔も今も同じです。仏様の教えは現代の人の「心の支え」になると小室さんはいいます。

恩師に「僧侶は仕事ではなく生き方だ」と言われました。24時間いつでも僧侶だ、という意識を持つことが大事と考えています。「将来は、だれからもたよられるようなお坊さんになりたいです」

浄土真宗本願寺派、築地本願寺(東京都中央区)の僧侶、小室典証さんの主な仕事

あゆみ

生き物が好きなやんちゃな子どもで、母子家庭で育ちました。中学生のころに、母子家庭への偏見があると気づきました。勉強ができないことを母のせいにされては申しわけないと思い、中高生のときには勉強にはげみ志望した高校、大学に進学しました。

しかし受験という目標がなくなると、「どう生きればいいか」となやむようになりました。そんなときに、浄土真宗本願寺派の信徒である母の再婚相手から、僧侶になることをすすめられました。大学で学んだ倫理学と通じるものも感じ、興味を持ちました。

1991年
アメリカで生まれ、3歳で帰国。神奈川県川崎市、茅ケ崎市で育つ
2007年
神奈川県立鎌倉高校に進学
2010年
慶応大学文学部人文社会学科倫理学専攻に進学
2015年
浄土真宗本願寺派東京仏教学院に進学。仏教を学び、僧侶となる
2018年
浄土真宗本願寺の宗派の職員に採用され、築地本願寺で働く
やりがいや苦労

自分事として相談に耳かたむける

僧侶は、人の一生や心と深く関わる仕事です。お寺に来る人の中には、大切な人を亡くした悲しみの中にいる人や、自分で解決するのがむずかしいなやみを相談したいと思っている人もいます。

小室さんは、力になれるかわからなくても自分事として耳をかたむけて、相談をしてくれた人の心に寄りそうことを大切にしています。

「参拝者や門徒さん(信仰を共にする人)から、法事(仏教行事)の後に『よかったです。満足できました』といった声が聞けるなど、喜んでもらえることがやりがいにつながっています」

クローズアップ
浄土真宗本願寺派、築地本願寺(東京都中央区)の仏教行事の始まりを知らせるために鳴らすかね。僧侶の小室典証さんは、きれいな音を出せるか先輩僧侶に確認してもらい、認められたら鳴らせます
仏教行事の始まりを知らせるために鳴らすかね。きれいな音を出せるか先輩僧侶に確認してもらい、認められたら鳴らせます

2022.1.10付 朝日小学生新聞
構成:小貫友里
撮影:近藤理恵
イラスト:たなかさゆり

毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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