林業従事者(りんぎょうじゅうじしゃ)
林業の仕事は、山に木を「植える」「育てる」「収穫する」という3つの工程があるよ。男性の力仕事のイメージがあるけど、機械化も進み男女問わず働いているんだって。写真は宮崎県高原町内の国有林で、木を収穫している様子。チェーンソーを操っているのが林業従事者だ。「木を切るなんてかわいそう」と思ったかな。実は森林を元気にする、大切な作業なんだ。(写真提供/公益社団法人 宮崎県林業労働機械化センター)
50年先を見据えて森林を育て、環境を守る
林業従事者は山に苗木を植えて、40~50年ほどかけて大切に育てて収穫し、また新しい苗木を植えることを繰り返して森林を守っています。収穫した木は、販売しています。スギ、ヒノキなどの針葉樹は建築材や家具などとして、広葉樹は細かく砕いた紙などの原料となるチップ、または薪や炭の燃料などとして利用されます。
「ハーベスタ」という高性能林業機械を運転し、木を切り倒す
森林をつくるときは、鍬(くわ)、鉈(なた)、鋸(のこ)、鎌(かま)などの道具や、刈払機、チェーンソーなどの機械が活躍します。また、木を切るときは、チェーンソーのほか、高速で木の枝払いをして丸太をつくるプロセッサや、丸太を運搬するフォワーダなどの高性能林業機械も不可欠です。これらを扱う林業従事者は、必要に応じて道具や機械を扱う資格を取得しながら、スキルアップを図ります。
自然を相手にする仕事なので、安全対策は怠りません。現場では、ヘルメット、笛、防災面(バイザー)、耳栓(みみせん)、グローブ、防護ズボン・ブーツなどを装備。マムシ、ハチ、マダニなどの危険生物に注意し、肌を露出しない作業着を着たり、ハチアレルギーの陽性者は、アレルギーショックに備えて自己注射薬(エピペン)を持参したりしています。とはいえ山の中は、景色が良く空気が澄みわたり、四季の変化や自然を肌で感じられる快適な環境。体を動かしたあとの昼ご飯の味も、格別です。
森林は木を育てるだけでなく、キレイな水を作り出す、二酸化炭素を吸収して空気を新鮮にする、地面に根を張って土砂崩れを防ぐといった働きもあります。林業従事者の仕事は、こうした自然の循環を守ることにもつながっているのです。50年後を見据え、次またその次の世代に引き継ぐ林業はスケールが大きく、環境への優しさも詰まっています。
どうしたら林業従事者になれるの?
樹齢1年生のスギ。40~50年後に成長するまで、大切に育てる
経験、学歴、資格は不要で、林業を営む会社などへ就業後、働きながら資格を取得します。
また、地方公共団体の林業大学校などへ入校し、1年以上の研修期間を通して、知識や技術の習得、各種資格の取得をして就職する方法もあります。