パプアニューギニアのオフィスで働くあのひと、何してる?

2022.01.31 あのひと何してる?

国境なき医師団(こっきょうなきいしだん)のアドミニストレーター

「国境なき医師団」とは、紛争や自然災害、貧困などさまざまな理由で保健医療サービスを受けられない人がいる場所へ駆けつけ、医療・人道援助活動を行う非営利の国際団体だ。医師や看護師と共に、現地事務所でお金や人に関する仕事をしているのが「アドミニストレーター」だ。どんな活動にも欠かせない、事務のエキスパートだよ。(写真提供/国境なき医師団)

多国籍なスタッフと共同生活をしながら、財務と人事を担当する


国境なき医師団の活動地は、主にアフリカ、アジア、中東、中南米など。アドミニストレーターは、これらの地域の活動で財務と人事を担当しています。


財務では、予算に応じて必要な経費をとりまとめ、自分が活動している国の首都にいるコーディネーターへ申請し、配布されたお金を現地で支払います。国境なき医師団は活動費の90%以上を個人や企業など、民間からの寄付金でまかなっているため、資金が正しく使われているか、支払いはルールにのっとっているか、無駄な支出はないかを慎重に確認します。


人事は、現地スタッフの採用や教育、福利厚生などに加えて、人間関係や家庭の事情などの相談ごとにのることもしばしば。南西太平洋のパプアニューギニアのプロジェクトでは、約100名のうち、海外からの派遣スタッフは約10名。あとは全て現地で採用した人たちです。

病院へ行ったり、アウトリーチ活動(医療援助を必要とする人々を見つけ出す活動や、病院に来られない人に移動診療で医療を届ける活動など)に同行すると、患者さんと話をしたりする機会も。日頃の業務が医療活動をサポートしていることを実感

多国籍な海外派遣スタッフとは共同生活を送っていますが、中でもコミュニケーションの機会として欠かせないのが食事です。豚肉や牛肉を食べない人、ベジタリアンの人、アレルギーのある人など、それぞれ事情が異なります。イエメンでは一般的に牛肉や羊肉を“肉”として考えていて、鶏肉(チキン)は肉と考えられていないため、肉なしのご飯を頼んでもチキンが入ってきてしまったことがあって、ベジタリアンのスタッフから苦情が出たこともありました。


契約書や規則などの多くの資料を正しく理解でき、多国籍チームで任務を遂行することができる語学力が必要です。語学力は危険な場所で「危ない! 気をつけろ!」と言われたらすぐに身を守る行動をとるためにも重要です。整った電力・インターネット環境のない地域や限られた設備の中で、「ストレスではなくチャレンジだ!」と思ってポジティブに活動しています。

どうしたら国境なき医師団のアドミニストレーターになれるの?


人事・財務・経理の管理業務で2年以上の実務経験と、英語かフランス語が必要です。日本事務局へ応募し、書類選考と面接を経て海外派遣スタッフとして登録されたのち、研修を経て活動地へと派遣されます。一般企業、NGO、金融、教育、政府関係など、さまざまな分野での経歴の人がいます。

協力/国境なき医師団

取材・文/片岡由衣