しごとについての質問
「仕事って、合わなかったら何度も転職していいものなの?」(14歳・男子)
中山治美(なかやま はるみ)さん
自分の思い描くライフスタイルに合わせて仕事を選ぶのも一つの道
『フォレスト・ガンプ/ 一期一会 』
監督:ロバート・ゼメキス
出演:トム・ハンクス、サリー・フィールド
価格:Blu-ray 2075 円 (税込) / DVD 1572 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
『Shall we ダンス? 4K Scanning Blu-ray』
監督:周防正行
出演:役所広司、草刈民代
価格:5280円(税込)
発売元・販売元 KADOKAWA
質問のニュアンスから察するに、転職をネガティブにとらえてます? かくいう筆者もそうでした。コロコロ職を変えるのは“こらえ性がない”とか、“適応能力が足りないんじゃない?”とか。そんなお子ちゃまな認識をガラリと変えてくれたのが、何を隠そう海外の映画の主人公たちでした。彼らは今よりも労働条件の良い仕事が見つかればさっさと転職し、新たな興味が見つかれば、それを職業にできる道を探す。もちろん、時間をかけて一つの仕事を極めていくのも美徳です。一方で、自分の思い描くライフスタイルに合わせて仕事を選ぶのも、それもまた一つの道でしょう。
一度きりの人生だもの。どんな仕事が自分に合うのか、さまざまな仕事を経験して、自分の可能性を切り開くなんていうのも、ワクワクするじゃありませんか。
そんな人生の楽しさを教えてくれる映画をご紹介しましょう。トム・ハンクス主演『フォレスト·ガンプ/一期一会』です。本作は、アメリカの現代史と共に描く、主人公ガンプの物語です。冒頭、こんなセリフから始まります。「人生はチョコレートの箱。開けてみるまでわからない」。その言葉通り、ガンプの人生は予期せぬことの連続です。
子ども時代、彼はハンディキャップがあったことからイジメに遭っていました。しかし逃げ足の速さに磨きがかかり、ついには大学のアメリカンフットボールにスカウトされ、全米代表選手に選ばれるほど活躍します。卒業後は勧誘を受けて陸軍へ。ベトナム戦争に出征して負傷しますが、療養で始めた卓球の才能が開花して、世界大会に出場。そして企業とのタイアップで手にした大金を元に、戦死した友人の遺志を継いで船を買いエビ漁を営みます。これが大当たり。さらに、その軍資金で果物の会社(Apple社のこと)に投資したところ億万長者になります。同時にそれらの節々でジョン・F・ケネディ大統領やジョン・レノンら偉人たちとも交流します。と、文字で書くとドラマティック以外の何ものでもない展開ですが、本人は運命に流されるまま生きていたらこうなった!という感じで、常に変わらぬテンションで過ごしているのが面白いところ。何より、副題の“一期一会”が表しているように、新たな環境に身を投じてみると思わぬ出会いや人生の転機が待ち構えているかも?と思わせてくれ、迷える人たちの背中を、そっと押してくれるような作品です。
ところで、映画界には転職組も多くいるのですよ。その代表が、今や日本を代表する名優となった俳優・役所広司。長崎出身の彼は上京後、千代田区役所に勤務する公務員でしたが、俳優・仲代達矢主宰の演劇集団・無名塾の芝居を見て感銘を受け、同塾に所属し、俳優の道を歩み始めました。その経歴が、「役所」という芸名に残っています。
役所広司といえば代表作は、ハリウッドでリメイクもされた映画『Shall we ダンス?』。家と会社を往復するだけの、単調な日々を送っていた会社員が、駅で目にした社交ダンス教室に引かれてその門をたたいたところ、日々の生活に彩りが増すという心温まる物語です。演じた杉山という役には、公務員時代の体験が生かされているかもしれませんね。