しごとについての質問
「アイドルになりたい」って言ったら、親は「ふ~ん」だって。あれ? 応援してくれないの?(10歳・女子)
中山治美(なかやまはるみ)さん
頑張っている我が子を見て、声援を送らない親はいません
監督:中野量太
出演:二宮和也、黒木華、菅田将暉、妻夫木聡
公開中
©2020「浅田家!」製作委員会
『リトル・ダンサー』監督:スティーヴン・ダルドリー
出演:ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ
発売元・販売元 株式会社KADOKAWA
価格:Blu-ray 2,000円(税別)
「ふ〜ん」のニュアンスが気になります。恐らくその言葉に続く親御さんの胸の内を文字に表現すると「……」があったはずです。推測ですが、「ふ〜ん。うちの子ってば意外な道を選ぶわね」とか「ふ〜ん。この子にアイドルなんてできるのかしら?」とか。いずれにしても無関心を装いつつ、めっちゃ気にしているに違いません。もちろん親にも「自分の子どもがこんな職業についてくれたらいいな」という理想があります。それが子どもの夢と一致せず、つい小言をいうこともあるでしょう。でも目標に向かって頑張っている我が子を見て、心の底から声援を送らない親はいないと思います。
映画『浅田家!』を見てみましょう。
同作は、‟家族”をテーマに写真を撮り続けている政志(二宮和也)が、東日本大震災のボランティア活動を経て、写真家として、ひとりの人間として成長する姿を描いています。主人公のモデルは‟写真界の芥川賞”と称される木村伊兵衛賞を受賞した写真家・浅田政志さん。劇中でも描かれていますが、浅田さんが注目されるきっかけとなったのが写真集『浅田家』。タイトル通り、浅田家の家族写真をまとめた作品ですが、一風変わっていたのは、家族みんなで消防士やレーサーなど様々な職種の人たちに成りきった写真であること。それが本格的で、映画の主人公よろしくヤクザや泥棒にまで! もう、爆笑せずにはいられません。さぞやノリの良い家族なのかと思いきや、どうやらお兄さんは渋々だった様子。でも両親はもちろん家族みんなで、政志さんがプロの写真家として活躍できることを祈って協力していたのです。頑張れ!とかあえて言葉にしなくても、こんな形での応援方法もあるのですね。
もしも親に反対されたら? ハイ、あなたの‟やる気”、‟本気”の見せどころです。イギリス映画『リトル・ダンサー』のビリーの例があります。
ビリーは、イギリス北部の炭鉱町に住む11歳の少年です。肉体が資本の男たちが多いだけに、男は強く、たくましくあれ!と言わんばかりにボクシング教室に通わされています。ところがある日、同じ体育館で行われていたバレエ教室に目が釘付け。ビリーは父親に内緒でバレエ教室に通いはじめます。すると先生から素質があると評価され、英国の名門ロイヤル・バレエ学校への入学を勧められるのです。しかし父親は「男がバレエなんて!」と大反対。まして街は炭鉱閉山のうわさで揺れており、息子をバレエ学校に通わせる余裕なんてありません。
それがある日を境に、父親は心変わりをします。ビリーの踊る姿を見たのです。そのダンスは力強く、躍動的で美しい。ひと目見て、努力なしには得られなかった動きであることや、息子の‟本気”を感じ取ります。以降、父親どころか街の人までもビリーの夢を応援します。
ところであなたがアイドルになりたいと思ったきっかけは何ですか? きっと、一生懸命歌っている姿がキラキラ光って見えたからでは? そう、夢に向かって突き進んでいる人って美しい。ぜひあなたの‟キラキラ”を親御さんに見せてあげてください。