下水道の中に機械を設置しているあのひと、何してる?

2020.12.25 あのひと何してる?

下水道管路管理技士(げすいどうかんろかんりぎし)

トイレやお風呂、キッチンなどからの汚水や、降り落ちた雨水を下水と言うよ。下水は、道路に埋められた下水道管を流れて下水処理場でキレイになり、川や海へと戻される。日本全国の下水道管をつなぐと約48万km、地球12周分もあるんだって。そのうち、50年以上使用されているものが1.9万kmあり(国土交通省調べ、2018年末現在)、老朽化が進んでいる。そこで頼りになるのが下水道管路管理技士だ。(写真提供/管清工業株式会社)

マンホールを開けて、下水道管の調査・清掃・補修


下水道管は老朽化が進んでいるうえに、汚水や雨水が24時間休みなく流れているため、汚れる、ゴミがたまる、傷つく、腐食する、破損するといったことが絶えません。下水道管に異常があると、トイレやお風呂の水がつまる、汚水が町にあふれる、道路が陥没するなどが起こります。管理技士は、下水道管を正常に維持するための調査・清掃・補修をしています。


調査では、下水道管に入り、内部や側溝、水路に堆積物などでつまりがないか、破損や腐食がないかを調べます。直径80㎝以下の下水道管は狭くて入れないので、360度を見られるカメラ付きロボットを中に入れて、地上から遠隔操作でチェックします。


清掃は約5年に1回のサイクルで、下水道管や側溝についたゴミや油の塊、河川の水路の堆積物を、吸引車や高圧洗浄車を使って除去。飲食店街などの下水道管は油が固着しやすく、2~3年に1回くらいで清掃することもあります。

作業人数は、下水道管の大きさによって違う。小さくて2~3人、4mほどの大きさになると20人規模になる。チームワークが大事

補修箇所を見つけたら、ひび割れなどの補強はもちろん、老朽化した管の中に新しいパイプを形成し、下水道を新設することもあります。下水道管の直径は約15㎝~5m超、マンホールから地下への深さも約1~40m超とさまざまあり、同じ条件の現場はありません。十数種類ある補修の中で、適切な方法を計画・実施するのは非常に難しく、技術と経験が求められます。


マンホールを開けると、広がる下水道の世界。マンホールとマンホールをつなぐ10~50mほどある下水道管を一日中歩いて作業する姿を、私たちが目にすることはありません。しかし、下水道が当たり前に使えるのは管理技士のおかげであることは確かです。

どうしたら下水道管路管理技士になれるの?


下水道管理企業に就職し、ロボットの操作技術などを教わりながら現場で経験を積みます。主な資格は、下水道管路管理総合技士、下水道管路管理主任技士など。

協力/管清工業株式会社

取材・文/内藤綾子