起業の成功と失敗、明暗の分かれ目はどこ?

2020.07.28 おしごとBOOK

しごとについての質問

起業って成功したらカッコいいけど、失敗したら借金だらけなイメージ。明暗の分かれ目はどこ?(16歳・男子)

土井英司(どいえいじ)さん

アマゾンの日本サイト立ち上げにも参画した本の目利き。書評家。出版コンサルティング会社・エリエス・ブック・コンサルティング社長。世界で1100万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』のプロデューサーでもある。

リスクの少ない起業のやり方もある


『しょぼい起業で生きていく』

著者:えらいてんちょう

出版社:イースト・プレス

価格:1300円(税別)

起業して借金だらけになるかどうかは、どれだけリスクを取るかにかかっている。たとえば君が庭の草刈りをする時に、ハサミを使ってちまちま切っていたらケガはしないかもしれないけれど、刈り取るのに時間がかかってしまう。鎌を使ったらその分速いけれど、ミスった時には、大ケガをするかもしれない。草刈り機を使ったらさらに速いけれど、最悪、足を切断してしまうかもしれないよね。


どれだけ危険をおかすか。これをビジネスでは「リスクを取る」と言うんだ。今日は、リスクが小さいやり方と大きいやり方、二通りの起業本をご紹介しよう。


Twitterで4万人の読者がいる(2020年6月現在)えらいてんちょうさんが書いた、『しょぼい起業で生きていく』は、リスクの少ない起業のやり方を紹介している。著者の基本的な考え方は、「日常生活で必要なものを作り、余ったぶんを売る」というものだ。彼はリサイクルショップを経営しているんだけれど、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、掃除機などの不用品を安く仕入れて、使いたいものは自分で使って、残りを売るようにしている。しかもお客さんはネットで集めるから無料だ。

リスクをおかして急成長するやり方もある


『BLITZ SCALING』

著者:リード・ホフマン、クリス・イェ 

序文:ビル・ゲイツ

訳:滑川海彦、高橋信夫

出版社:日経BP 

価格:1800円(税別)

一方、アメリカの有名起業家・投資家のリード・ホフマンさんが書いた『BLITZ SCALING(ブリッツスケーリング)』は、リスクをおかして急成長するやり方だ。多額の資金と人が必要なため、投資家や働く人を集める「大きな夢」が必要になる。小さな夢のために100万円を差し出す人は少ないけれど、100万円が100億円になる大きな夢なら、お金を出す人は多いということだ。これを実行するには、銀行出身者など、お金に強い仲間が必要不可欠だ。


ビジネスを学ぶことは、危険をコントロールする方法を学ぶことと同じだ。会社がつぶれた時、どうしていいかわからず迷う大人より、たとえつぶれても次の一手を考えられる大人がカッコいいと思うなら、思い切って挑戦してみよう。でも、そのためには、今からきちんと数学を学ばないとね。