ドキュメンタリー映画で見る、弱者のために戦う弁護士

2019.09.30 おしごと映画

しごとについての質問

「弁護士に興味があります。弱い立場の人を守るってかっこいいし、ドラマでもかっこいい。本当の姿もそうなの?」(14歳・男子)

中山治美(なかやまはるみ)さん 

スポーツ新聞記者を経て、フリーの映画ジャーナリストに。映画サイト「シネマトゥデイ」ほか、多数の雑誌で連載。世界の撮影スタジオ、映画祭を取材中。

実際の弁護士の姿を追ったドキュメンタリーを紹介しましょう


『RBG 最強の85才』

全国公開中

監督・製作:ジュリー・コーエン、ベッツィ・ウェスト

出演:ルース・ベイダー・ギンズバーグ、ビル・クリントン、バラク・オバマ

配給:ファインフィルムズ 

©Cable News Network. All rights reserved.

『愛と法』

全国公開中&自主上映会実施中

監督:戸田ひかる

出演:南和行、吉田昌史

配給:東風

©Nanmori Films

ステキです。あなたの「カッコイイ」の基準。
見た目がイケてるとか権力を持っているとかではなく、社会的弱者をサポートしている姿にグッときたのですね。その気持ち、よーく分かります。なぜならドキュメンタリー映画『RBG 最強の85才』を通してルース・ベイダー・ギンズバーグに出会ったから。年を重ねて現在86歳の彼女は、最高齢のアメリカ合衆国最高裁判所判事です。
彼女の何がスゴいか。女性の進学・及び社会進出が厳しかった時代に最高位の大学へ行き、法学士号を取得して弁護士に。性別や人種の違いによって社会で不当な扱いを受けている人たちの弁護に付き、時代に合わない法そのものに「違憲」を突きつけてきました。一例が1973年の、空軍で働く既婚女性のために男性と同等の住宅手当を勝ち取った裁判です。その姿勢は裁判官や最高裁判事になっても一貫しており、昨今ではトランプ政権が導入したイスラム圏など7カ国からの入国制限措置に支持を示した最高裁判所に対して、「宗教の自由を侵害している」と反対意見を提出しました。
しかも彼女は学生結婚して2児の母。自身の生き方を通して「女性は家を守るもの」という世にはびこる古い価値観をも変えてきました。もちろん苦労もあったワケで、その辺りは彼女の人生を描いた映画『ビリーブ 未来への大逆転』(2018)も合わせてどうぞ。
日本でも同様の思いで活動している弁護士がいます。ドキュメンタリー映画『愛と法』の南和行さんと吉田昌史さん。彼らは弁護士“夫夫(ふうふ)”と称して同性愛者であることを公言しながら、セクシャル・マイノリティーや家庭環境などで戸籍を持てなかった子どもたち、君が代斉唱時に不起立で処分された教師など、社会に声が届きにくい人たちに手を差し伸べ、彼らの権利を守るべく奮闘しています。南さんと吉田さんの共著もあります。
2つのドキュメンタリーを見ると、弁護士は人の人生も、国の未来をも変える力を持っている夢のある職業であることを実感するでしょう。でもその力が誤った方向に使われたら……。カッコイイか、カッコ悪いか。見極める目を養うのは、私たちの責任です。