宇宙に関する仕事は、算数ができないとダメ?

2019.09.30 おしごと映画

しごとについての質問

「星空を見るのが好きです。天体の仕事に就くには算数が苦手じゃダメですか?」(10歳・女子)

中山治美(なかやまはるみ)さん

スポーツ新聞記者を経て、フリーの映画ジャーナリストに。映画サイト「シネマトゥデイ」ほか、多数の雑誌で連載。世界の撮影スタジオ、映画祭を取材中。

もしも宇宙の専門職を目指すなら、克服しましょう


『オデッセイ』

監督:リドリー・スコット

出演:マット・デイモン 、ジェシカ・チャステイン

発売元・販売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン

価格:Blu-ray 1905円(税別)

©2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『はやぶさ/HAYABUSA』

監督:堤 幸彦

出演:竹内結子、西田敏行、髙嶋政宏、佐野史郎

発売元・販売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン

価格:Blu-ray 1580円(税別)

©2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

©2011「はやぶさ/HAYABUSA」フィルムパートナーズ

“ダメ”ではないですが、不利にはなるかと思います。
ご自身でも調べたのでこの質問をされていると思いますが、日本の航空宇宙研究の総本山・JAXA(宇宙航空研究開発機構)やプラネタリウムで勤務するのも、いずれも天体の動きを理解することが必須となる専門職。学位や資格を必要とする職種ならなおさら、理系の学科への進学が重要となってきますので、算数(数学)の成績がカギを握ると思われます。
でも“苦手”というのは「ピーマン嫌い」と同じで、何かの拍子で克服可能では?

特効薬として、マット・デイモン主演『オデッセイ』をオススメします。
本作は、火星での探査任務中に大砂嵐に遭い、クルーは脱出に成功したものの、不慮の事故で一人だけ取り残されてしまった男マークのサバイバル映画です。
彼がスゴイ! 残された物資を使って生存方法を模索します。
幸い、マークは植物学者。施設内に地球と同じ生態系を作って、じゃが芋を栽培して食料を確保。周辺を探索し、以前に火星に送り込まれていた無人探査機を利用して、NASAとの連絡に成功します。
まさに知識は身を助けるで、本作を見れば誰もが「もっと学校の勉強をしっかりやっておくんだったー」と激しく後悔するでしょう。
知識は生きるために有効なツールになるのだと知れば、やる気も湧きません?

それにしても、生命の起源をたどることにもなる天体に関する仕事に就きたいとはロマンがありますね。そんなあなたに、小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトの軌跡を描いた映画『はやぶさ/HAYABUSA』のクライマックスでの、チームの一員・水沢恵(竹内結子)のセリフを贈ります。
「(プロジェクトを通して)命のことを考えるようになりました。私の命は、宇宙が始まったときからずっと進化しながら続いてきた生命の一部だということを。皆、同じ宇宙の進化の中で生まれてきたかけがえのない命だと思えば、誰の命が大事とか、大事じゃないとか、そんなことを全く考えなくなります。皆、一つにつながった大きな宇宙の一部なのだと私は思います」
苦手を克服してでも、挑み甲斐のある仕事ですね。