国会で演説する首相の真下にいるあのひと、何してる?

2019.08.28 あのひと何してる?

速記者

ここは国会議事堂・参議院の本会議場。大臣や議員が発言する演壇の前の席に座って作業をしている人、それは速記者です。会議の発言を文字に起こして、会議録を作成しているよ。( 写真提供/参議院 )

5分交替で大臣らの発言を速記。のちに10日程度で印刷、配付


国会会期中には、テレビの中継でおなじみの本会議ほか、常任委員会、特別委員会、調査会、憲法審査会等といった会議が必要に応じて開催されています。その内容はすべて会議録として残されていますが、なかでも本会議や全大臣が出席する重要な委員会には速記者が入って会議の内容を記録しています。

速記は5分交替(過去には委員会は10分交替)で行います。写真右側にいる人は、次の5分間の速記を担当する人。記録は記号のような速記符号を用いて、迅速に正確に書き取っています。

速記が終わり、原稿が作成されたら、校閲・編集を経て国立印刷局で印刷され、その後、議員などに配付されます。

会議録発行までの所要日数は、会議時間、会議録の末尾に掲載する文書の有無などによりばらつきはありますが、休日を除いて平均10日間程度。また、参議院ホームページでも公開されます。

なお、速記者が入らない会議については、会議の映像・音声をもとに原稿作成し、その後校閲・編集を経て印刷され、ホームページで公開しています。

速記者が所属するのは“記録部”という部署


会議録作成は、参議院・衆議院それぞれで事務局内の“記録部”という部署が担当しています。現在は「速記者」に限定した部門別採用は行っていませんが、事務局職員として採用されたのち、記録部に配置されることもあるのだそうです。

かつては衆議院、参議院それぞれに速記者養成所があり、2年間の養成期間を経て基準を満たした人が速記者になることができました。しかし2007年1月1日に参議院速記者養成所は廃止(衆議院速記者養成所は2006年12月に廃止)され、現在に至っています。

協力/参議院広報課
取材・文/阿部桃子