一口に公務員といってもイロイロ。大切なことは?

2019.08.28 おしごと映画

しごとについての質問

公務員になりたいと思いますが、どんな仕事ですか?(15歳・男子)
 

<答えてくれる人>中山治美(なかやまはるみ)さん

スポーツ新聞記者を経て、フリーの映画ジャーナリストに。映画サイト「シネマトゥデイ」ほか、多数の雑誌で連載。世界の撮影スタジオ、映画祭を取材中。

“公務員”は文字通り、公=国民のために仕える仕事です


『ハッピーフライト スタンダードクラス・エディション』
発売元:フジテレビジョン/アルタミラピクチャーズ/電通
販売元:東宝
価格: DVD 3800円(税別)

『県庁おもてなし課 スタンダード・エディション』
発売元:株式会社KADOKAWA 角川書店
販売元:東宝
価格:DVD 3800円(税別)

公務員には大きく分けると国家公務員と地方公務員があり、さらに公務員試験を受けて採用される一般職と、選挙などによって選ばれる特別職に分類されます。私たちの生活に大きく関わる仕事をしている人たちなので、私たちは彼らの仕事を日頃からよく目にしています。

例えば、ニュースや新聞でよく見ている内閣総理大臣や国会議員。彼らは国家公務員の特別職となります。

教師もそうです。国立の学校なら教師は国家公務員の一般職、県立や市立の学校なら地方公務員の一般職となります。

ほか、映画で具体的に見てみましょう。

映画『ハッピーフライト』は航空会社と飛行場に勤務する人たちが、1機の飛行機を無事に運航するためにどれだけの力を注いでいるかがよくわかるお仕事ムービーです。

その中で国家公務員は、セリフでもちょこっと説明していますが航空管制官です。撮影で使用された羽田空港は、国土交通省東京航空局の管轄です。彼らの仕事は、いわば空の交通整理。羽田空港は1時間の離発着回数だけでも最大80回で、約45秒に1機が離発着している計算になります。

通常でも大混雑なのに、映画のように緊急事態が発生し飛行機が引き返すような事態になったら、さぁ、大変。レーダーを見ながらうまく他の飛行機と運航ルートや時間を調整して、すべての飛行機を安全に滑走路に誘導するのが彼らの腕の見せどころ。非常にやりがいのある仕事です。

次に、地方公務員の一般職の例を見てみてみましょう。関ジャニ∞の錦戸亮主演の『県庁おもてなし課』は、高知県庁に実在する「おもてなし課」の職員たちの奮闘を描いた人間ドラマです。

原作は、高知県出身の作家・有川浩さんの同名小説。高知県では2007年に観光推進に力を入れるべく、全国でも珍しい「おもてなし課」が設置され、有川さんは観光特使に任命されました。その時の、おもてなし課職員と交流した実体験が基となっています。

県のどんな特色をアピールし、観光客を呼び込むか。高知県の場合は、海も山もあるダイナミックで豊かな大自然。それは県のイメージアップにつながるだけでなく、観光客が来れば宿泊代や土産の購入など県の事業者の活性と利益につながりますから重要な仕事です。そうそう、現在おもてなし課では「映画『県庁おもてなし課』高知県庁ロケ地めぐり」を定期的に開催して、観光の目玉の一つにしています。

ところで、あなたが公務員になりたい理由は何でしょう? 一般企業と比較して業績不振で倒産するようなことはありませんから、安定した収入が見込めることが理由でしょうか? 先の見えない時代、賢明な選択ともいえますね。

ただ忘れてほしくないことがあります。公務員の給与の多くが、私たちの税金で賄われています。また日本国憲法第15条では、公務員の任務について下記のように記しています。「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と。公務員になったら、どうか、私たちの生活がより良きものになるよう従事してください。人生も終わりに近づいている大人から、未来の大人たちへのお願いです。