埼玉県さいたま市立大門小学校では2022年、4年生を対象に児童が「お仕事ずかん」の制作を通して自分の夢や目標の実現に向かってどう生きるかを考える、キャリア教育の授業を行いました。制作には『おしごと年鑑2022』や朝日小学生新聞なども活用。授業はSDGsの視点も取り込み、幅広い知識や技能を学んだほか、これからの学びへの意欲にもつながるものになりました
- 実践校
- 埼玉県さいたま市立大門小学校
- 学年
- 小学校4年生(2022年度) 全3クラス計89人
- 授業
- 総合的な学習の時間(キャリア教育として)
- 時間
- 年間17コマ+国語「不思議ずかんを作ろう」7コマ
- 使った教材
- 『おしごと年鑑2022』、ウェブ版おしごと年鑑、朝日小学生新聞ほか
社会にはどんな職業がある?
学習のめあてとして、「お仕事ずかん」作りを通してこれからの生き方や将来の夢について考える、という見通しをもつことからスタート。まずは児童が自分の知る仕事について書き出し、グループで話し合った。「おしごと年鑑」を活用して社会にどんな職業があるかを調べ、そこから自分の将来像を思い描いた。また、トップアスリートたちのインタビュー動画を視聴して夢や目標に向かって努力することの大切さを知り、自分なら具体的にどんなことができるか課題を見つけた。
職業インタビューで学ぶ
地域の人をゲスト講師に呼ぶ職業インタビューでは、事前に下調べをして、聞きたいことをグループでまとめた。NIEと関連して、学校で購読する朝日小学生新聞の連載「紹介します!○○の仕事」の記事で知った、起業家の原ゆかりさんを招いた授業も行った。原さんのアフリカと日本を結ぶ活動について語ってもらい、企業やそこで働く人の取り組みが具体的にどのように社会課題の解決やSDGs につながっているか、気づきも得た。
夢や目標の実現のためにできること
多くの職業人に話を聞いたことから、自分が興味をもった職業を1つ決め、スライドにまとめる作業を行った。調べ学習では再び「おしごと年鑑」を活用。インターネットも利用し、効率的な情報収集の方法やスライド作成時の注意点なども学んだ。作業では、目標の職業に就くにはどんな努力が必要か、付箋を使って自分の考えを書き出し、整理。スライド完成後は、グループで発表し合い、異なる職業について友達同士で互いにアドバイスしあった。
「お仕事ずかん」を作ろう!
これまでの授業での実践を踏まえ、各自が「仕事ずかん」の原稿を制作。クラスで発表し、感想交流を行った。また、SDGsの視点から「おしごと年鑑」を参考に児童がまとめて目次も作り、完成後は学校の図書室に掲示した。最後の授業では単元の振り返りをして、これからの生活で夢や目標に向けて行動していこうと意欲を高めた。
企画・担当した先生から
原島汐帆教諭
児童が知る職業や仕事は、ユーチューバーや宇宙飛行士、先生、サッカー選手など誰もが聞いたことのあるものに限られます。「会社員」とひとくくりにされる職業にも、実際には多くの仕事内容があり、社会で役立っています。「おしごと年鑑」は、そんな児童が知らないけれど身近な仕事について書かれているのが魅力的でした。児童の身近な話題や素朴な疑問を導入として扱っているため、じっくり読む児童や、「身近なことなのに知らなかった!」と内容に驚く児童もいました。また、タブレット端末の操作が苦手な児童でも、書籍だと目次から索引しやすく、読み進めるうちに興味のある職業や仕事が見つかることも。今回、国語の「不思議ずかんを作ろう」の単元とも関連付けて学習したため、「おしごと年鑑」の原稿の書き方や、読み手にわかりやすい目次の作り方なども、学習の助けになりました。