実践! 「おしごと年鑑」授業リポート 第1回

企業紹介プレゼン大会をやってみた

大阪府泉南市立信達中学2年生
  • 総合学習(探究)
2022.09.02 授業リポート

大阪にある泉南市立信達(しんだち)中学校は2021年秋、2年生を対象に、「おしごと年鑑」を使ったキャリア教育授業をしました。生徒たちは興味のある企業・団体のページの内容を、端末を使ってプレゼンテーション(プレゼン)資料としてスライドにまとめ、班やクラスで発表。その後、クラス代表の生徒たちが競い合う学年全体の企業紹介プレゼン決勝大会もありました。授業の流れや工夫、ねらいをご紹介します。

班で企業紹介プレゼンをする信達中学校の生徒たち
実践校
大阪府泉南市立信達中学校
学年
中学2年生(2021年度)全5クラス計204人
授業
総合的な学習の時間(進路学習として)
時間
7コマ(2021年9月15日~27日)
使った教材
ウェブ版「おしごと年鑑」
1コマ目

導入(全体ワーク)

教師から授業の見通しを聞いた後、生徒たちはタブレット端末でプレゼン資料作成ソフトの使い方を学び、ウェブ版「おしごと年鑑」をもとに、3分間を目安とした構成の内容について考えた。作成ソフトは、Google社のGoogleスライドやマイクロソフト社のパワーポイントなどがあるが、信達中ではアップル社の「キーノート」を使った。

2コマ目

プレゼン作りに挑戦!(全体ワーク・個別ワーク)

生徒たちはクラス単位で、プレゼンのための資料作りのコツをまとめたNHKの学校放送番組を大型ディスプレーで視聴。スライドはキーワードで示す▽写真やグラフは数を絞り、伝えたい事柄を目立たせる▽繰り返し練習する――などのスキルを学んだ。残りの時間で、ウェブ版「おしごと年鑑」から興味のあるテーマや企業のページを選び、プレゼン資料と原稿作りをスタート。

プレゼン作りのコツをまとめた学校放送番組を視聴する信達中学校の生徒たち
3〜5コマ目

プレゼン資料作り(個別ワーク)、班とクラスで発表(全体ワーク)

前回に続いてプレゼン資料を作成。完成後、発表の練習。各班でプレゼンを互いに発表し、班の1位となった生徒がクラスで発表。教師の作った採点表で「スライドの見やすさ」など3項目を5段階で評価し、生徒たちはGoogleフォームにそれぞれの1位を投票。集計の結果、決勝大会に進む上位2人が決まった。評価基準の明確化と数値化は、公平性を保つとともに、生徒が自分のプレゼンについて客観的に振り返ることにもつながるという。

左は企業紹介プレゼンをする信達中学校の生徒たち、右はプレゼンの採点表
6・7コマ目

決勝大会(全体ワーク)

クラスごとに選ばれた10人の生徒が決勝大会に進出。Googleミートで各教室をつなぎ、プレゼン発表を中継した。スライドは簡潔な見出しやキーワードで構成され、生徒は原稿を見ずに身ぶり手ぶりで話したり、聴く人の興味をひくために導入にクイズを出したりして、それぞれの工夫が光っていた。視聴した生徒たちは再びプレゼンを採点し、順位を決め、1位は株式会社 資生堂のページについてのプレゼンだった。次の授業で、表彰と振り返りをした。

左は信達中学校の企業プレゼンの決勝大会に進んだスライド作品、右は決勝大会のプレゼンの様子
左=決勝に進んだ生徒たちのスライド。左から順に、大日本住友製薬株式会社(現・住友ファーマ株式会社)、株式会社メニコン。右=1位となった株式会社 資生堂の企業紹介プレゼンの様子

決勝進出者に
企業からコメントも(一部抜粋)

  • 笑顔の丸型アイコン

    聴く人の目を見て話すことが大切です。最後の「クイズ」の3択で、聴く人に手を挙げさせることができたら、最高でしたね。(日清医療食品株式会社)

  • 笑顔の四角型アイコン

    簡潔にまとめられており 非常に分かりやすかったです 。シーチキンに使われている1つひとつの魚の特徴をもう少し付け加えるとより良くなると思いました。(はごろもフーズ株式会社)

  • 笑顔の星型アイコン

    境界標の意味を的確に把握して説明されていました。学校周辺の境界標など実例を取り上げるとよりイメージがつかめると思いました。(日本土地家屋調査士会連合会)

  • 笑顔の三角型アイコン

    短時間で発泡スチロールの特長を的を射た内容で説明いただき感心しました。(発泡スチロール協会)

  • 笑顔の丸型アイコン

    動物を愛する同志としてともに働けたらうれしいです。(イオンペット株式会社)

信達中学校の校内で掲示されたプレゼンについての企業やおしごとはくぶつかん編集部からのコメント
校内掲示でも、決勝大会のプレゼンで紹介された企業とおしごとはくぶつかん編集部からのコメントを紹介した

企画・担当した先生方から


信達中学校の野田亜希教諭
野田亜希 教諭

きっかけは、コロナ禍でキッザニア甲子園(兵庫県)での職業学習が延期されたこと。校内の授業でも何か一つでも達成感を生徒に感じてほしくて、「おしごと年鑑」の活用を考えました。学年の先生たちと協力して展開したところ、生徒の多くが熱心に取り組み、プレゼンも想像以上のできばえ。「このがんばりを『おしごと年鑑』編集部に連絡して、企業・団体からコメントを頂けたなら、生徒たちも社会とのつながりを感じられるのではないか」と考えたところ、それが実現しました。生徒たちは「めっちゃうれしかった」「細かいアドバイスをもらえてとてもありがたかった」などと感動していました。決勝に進んだ生徒たちは、普段は控えめな子もいて、活躍する場を設けることができたことにも感謝しています。

*野田先生のほか9名の先生方(室谷、前田、斉藤、川端、大倉、薮、小原、清水、植田)が担当した

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