問題
1960年代後半のトマトは運ぶときの傷みを防ぐため、まだ硬い緑色の状態で収穫していた。完熟していないので、あまりおいしくない。
年々、日本の平均気温は上昇しています。暑さは人々の生活だけでなく、野菜の生育にも影響を与えます。そんな環境でもきちんと育つ品種づくりについて、タキイ種苗に聞きました。
10年先の環境(気温上昇など)を予想して、品種の開発をしているよ。
野菜にはそれぞれ生育に適した気温があります。野菜の原産地にもよりますが、トマトの場合、一般的には気温15〜25℃程度が適温といわれます。過去100年間で、日本の年平均気温は約1.4℃上昇しており、野菜作りにも影響を及ぼしています。
実がならない
病気になる
実が割れる
色が悪くなる
暑い夏の期間が長くなり、春や秋が短くなった気がしない?
高温下では野菜に生理障害(生長不良)が起きやすいですが、品種開発によって暑さに適応する品種を生み出しています。その中の1つにトマトの「桃太郎ブライト」があります。この品種はスタミナがあり、暑くても実がつきやすく、高温が原因の1つで発生する「黄変果」が少なく、しっかり育ちます。
▲「桃太郎ブライト」
「桃太郎ブライト」は黄変果が発生しにくい品種なんだポン!!
▲高温などの影響でヘタの周りが黄色くなり、色味や食感が悪くなっている果実のこと
品種開発では性質が違う2種類の原種を掛け合わせて、新しい品種を生み出します。何千~何万もある素材の中から原種を選び、求める品種ができるまで多くの組み合わせを根気強く試し続けます。
イメージ
タキイ種苗の大玉トマトといえば「桃太郎」!1985年に誕生して今年で40年。品種開発によっていくつもの「桃太郎」シリーズが生まれています。生産者は栽培時期や場所の違いによって、品種を使い分けています。
問題
1960年代後半のトマトは運ぶときの傷みを防ぐため、まだ硬い緑色の状態で収穫していた。完熟していないので、あまりおいしくない。
挑戦
そこで「完熟した甘さ」「輸送に耐えられる硬さ」「おいしそうなピンク色」を目標に、新しいトマトの開発に挑戦!
完成
品種開発を続けて、1983年ついに「桃太郎」が完成!
2年後の1985年に発売!
▲「桃太郎」
▲「千恋(ちこ)」
世界で見るとトマトの種類は1万種以上もあるんだって!
現在、全国で23品種が販売されている
夏秋栽培
夏の時期に収穫するトマト
冬春栽培
冬の時期に収穫するトマト
野菜をきちんと育てるには人が栽培管理をする必要があります。でも、気温の上昇で熱中症などの危険もあり、長時間の作業が年々難しいものに。安全に効率よく野菜が育てられるよう、品種を選び、環境を整備し、作業の負担を軽くすることが求められています。
▲「PC筑陽(ちくよう)」という品種のナス。ホルモン処理やハチを飛ばして受粉させなくても実がなるため、ハウス内での作業時間が短くてすむ
▲遮熱性のあるネットを使ってビニールハウス内の温度を下げる。空調を使って空気を循環させる工夫も
ファン(送風機)付きベストで作業時の暑さを軽減
暑さ対策は欠かせないんじゃ!
タキイ種苗株式会社
研究農場 トマト担当 中山健治さん
トマトの原産地は南米ペルーのアンデス高原で、涼しい気候を好む作物なので、じつは暑さが苦手なのです。農家さんが暑い中でも工夫しながら上手に栽培してくれるおかげで、私たちは1年中お店でトマトを買うことができます。そんな農家さんの助けになりたくて、日々暑くてもへこたれず、たくさん実のなるトマトの品種を開発しています。
「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、とっても健康にいいトマト。みんなでたくさん食べましょう!
おいしいトマトの品種を開発して、みんなに届けます!