お気に入りの洋服同士を組み合わせても、なんだかおしゃれに見えない。それは色の組み合わせのせいかもしれません。ファッションコーディネートなど、日常に役立つ色の考え方について、色彩検定協会に教えてもらいました。
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色について学んで「色相」と「トーン」を知ると、洋服の組み合わせが楽しくなるよ!
色相と色相環
色を、ピンクは「赤系」、水色や紺色は「青系」というようにグループ分けしたとき、この色みの性質を「色相」といいます。そして色相を虹の色のように並べて輪にしたものが「色相環」です。色相環は色同士の「色相の差」を感覚的につかめて便利。たとえば向かい合った色相は一番差が大きく、お互いを引き立てあう組み合わせです。この関係を「補色」といいます。
を手がかりにしたコーディネートの例
同一・類似色相配色
色相が同じか、似ている色を組み合わせる
同じような色相を組み合わせると、まとまり感が出ます。そして、青はさわやか、赤は暖かいなど、その色が持つイメージを強く感じられます。
対照・補色色相配色
色相が離れている色や正反対の色を組み合わせる
色相の差が大きな組み合わせでは、鮮やかな色の場合は特に「派手で力強い」印象になります。元気なイメージを出すのにピッタリ!
色のトーンってどんなもの?
色を言葉で表すときには「薄い/濃い」「明るい/暗い」「鮮やか/濁った」など、その色が持つ感じ(印象)で表現します。この印象は、色相が異なっても「明度」と「彩度」が似ていれば共通して感じられます。このように、同じような印象を与える明度と彩度を持つ色を集めたのが「トーン」です。
トーンごとに名前があり、それを「トーンの略記号」といってアルファベットで表します。
トーンを使えば色のイメージをわかりやすく表せるね!
を手がかりにしたコーディネートの例
同一・類似トーン配色
トーンが同じ色や、となり同士の色を組み合わせる
対照トーン配色
トーンが離れている色同士を組み合わせる
トーンも色相と同じで、同じようなトーン同士ではまとまりが、離れたトーン同士ではコントラスト感が出ます。色相の「同一・類似色相配色」で紹介したコーディネートは、トーンに差がある「対照トーン配色」でもあります。この配色は、別名「トーンオントーン配色」といって、同じ色相で明るさが違うアイテムを組み合わせて作ります。このように、「色相」と「トーン」の2つを合わせて考えると上手に配色できるのです。
色相とトーン、両方の組み合わせで配色を考えるといいんだ。
センスの良い配色には、色の基礎知識が必要
みなさん「センス」と聞くと生まれ持った才能のように思っていませんか。ファッションやデザインなど、色を扱う分野では特にそうですね。でもじつはセンスは後から身につけられます。大切なのは学習と実践! 難しい算数の問題が、一生懸命勉強したら解けるようになるのと同じです。ここで紹介する「色相環」と「トーン」は、色の基礎にして万能のツール。マスターすればセンスアップへの大きな一歩になりますよ。
色の性質やイメージを知ると、センス良くなれるんじゃ!
観察を習慣づけ、色彩マスターになろう!
公益社団法人 色彩検定協会 検定推進本部 山中雄市さん
「色の勉強」というと、ファッションやデザインのプロがすることと思われがちですが、じつは私たちにとって、とても身近で楽しいことなんです。みなさんもここで学んだ知識を実践して、ぜひ色彩マスターになってください! そして私からもうひとつ、普段からできる上達方法をご紹介します。それは「良いものを観察すること」です。センスの良い人は、日頃「良いな」と思ったものを観察して、それをうまく自分の中に取り入れています。本を読んだり、美術館やお店などに出かけたりして、常に「観察」することが上達への近道。これは色に限らず、勉強やスポーツにも当てはまるので、自分の好きな分野でも試してみてくださいね!
ふだんから良いなと思うものをよく観察してみましょう!