私たちも将来新しい薬を作れるの?

おしごと年鑑 未来を生み出す科学技術のお仕事 2024年度
日本製薬工業協会

病気になると、病院で薬をもらいます。病気を治してくれる薬ってすごいですね。いっぱい勉強すれば、いつか私たちも薬を作れるようになるのか、日本製薬工業協会に教えてもらいました。

  • 新薬の研究開発の仕事
  • 医療に関する仕事
  • 健康を守る仕事

もちろん作れるよ! 日本は世界の中でも新しい薬(新薬)をたくさん作り出している国なんだ。

日本発の新薬の数は世界4位!

新しい薬(新薬)を開発する技術はとても高度で複雑なので、世界を見渡しても新薬を生み出している国は少数です。日本はその限られた国の1つで、常に研究や開発が行われています。
2021年に世界で使われた薬の売上高の上位100品目のうち、日本から生み出された新薬の数は9品目。これは、世界第4位の多さです。日本発の新薬は、がんや脳・神経にまつわる病気のお薬などで、世界中の人たちの役に立っています。

世界の薬の売上高 上位100品目創出国(2021年)

世界の薬の売上高 上位100品目創出国(2021年)

くすりの

ニュース

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新・千円札の北里柴三郎博士
感染症の予防と治療方法を発見!

2024年7月から流通する新しい千円札の肖像が、細菌学者の北里柴三郎博士です。明治時代に全身をけいれんさせる病気を引き起こす「破傷風菌」だけを取り出して増やすことに成功し、破傷風の予防と治療方法を発見しました。日本ではほかにも、医学と薬学で新たな発見や開発をする研究者たちがたくさんいます。

新・千円札の北里柴三郎博士

北里柴三郎 博士

(1853〜1931年)

写真提供:学校法人 北里研究所 北里柴三郎記念博物館

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ニュース

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コロナワクチン開発に貢献した
研究者がノーベル賞受賞!

2023年にノーベル生理学・医学賞を受賞した2人の研究者は、mRNA(エムアールエヌエー/メッセンジャーRNA)を使って新型コロナウイルスワクチン開発に貢献しました。日本人ではこれまで、寄生虫による風土病の治療薬を実用化した大村智博士や、がんに対する治療薬の研究で本庶佑博士なども受賞しています。

2023年にノーベル生理学・医学賞を受賞したカタリン・カリコ博士(左)とドリュー・ワイスマン博士

2023年にノーベル生理学・医学賞を受賞したカタリン・カリコ博士(左)とドリュー・ワイスマン博士

新薬ができるまでの長い道のり

新薬の研究開発は、大きく分けて、「基礎研究」「非臨床試験」「治験」「承認と発売」の4つの段階に分かれます。
新薬ができるまでには、9〜16年という年月と多額の費用がかかり、飲み薬などの場合、成功確率はおよそ2万5000分の1とも言われます。それはまさに、脱落者が続出する難所だらけで、ごく限られた挑戦者だけが山頂にたどりつける最高峰への登山のようなもの。小さな1粒には、たくさんの時間と費用、研究者たちの努力が詰まっているのです。

新薬ができるまでの長い道のり

基礎研究

病気の原因や、新しい薬のもとになる物質を研究するよ

非臨床試験

本当に効果があるか、危険性がないかなど、細胞などを使って実験するよ

治験

患者さんに協力してもらって、人への効果や安全性を確認するよ

承認と発売

安全性や品質が認められたら、国に申請して薬として認めてもらうよ

長い期間に多くの人の努力と挑戦を積み重ねて、新薬はできているポン。

ガラポン

創薬の研究開発には「夢」がある!

答えてくれた人

日本製薬工業協会 広報委員会委員長
泉川達也さん(田辺三菱製薬株式会社)

新薬を創る「創薬」の研究開発には、化学や生物学の知識だけでなく、データを扱う能力などが必要です。また、専門的な勉強だけでなく、ほかの人との交流を通じて、優しさや思いやりを育むことも重要です。
新薬を創るには長い時間がかかり、成功する確率も低いのが現実。だからこそ、多くの人と協力して仕事をするためにも、根気強さや、チームワークも大切です。なにより創薬の研究開発には「夢」があります。きみたちと一緒に創薬できる日が来るのを楽しみにしているよ!

答えてくれた人