ダイコンの葉の付け根の下あたりを首といい、首が青い(緑色の)ダイコンを青首大根といいます。どうしてダイコンの首は青いのか、タキイ種苗に聞きました。
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地面から出た首の部分に光があたり、青く(緑色に)なるんだ。
引き抜きやすさとおいしさで、一気に広まった!
昔(50年以上前)はダイコンといえば、真っ白な白首大根が主流でした。青首大根は関西や中部地方など一部の地域だけのものでした。しかし、1974年ごろ、タキイ種苗が従来の品種より暑さや病気に強くてよく育ち、甘くておいしい「耐病総太り」という青首大根を開発したことで、青首のダイコンが全国に一気に広まりました。
ダイコンの旬は冬だけど、今は1年中とれるようになったんじゃ。
青首大根(品種:耐病総太り)
味の特徴
水分が多く、甘味がある
▲青首大根は地面から首の部分がぐっと上がってきて、その部分に光があたり、緑色になる
お店でよく見るのはこのダイコンだポン!
白首大根(品種:おふくろ)
味の特徴
水分が少なく、甘味が少ない
▲白首大根は地面からあまり上がってこないので、緑色にならない
白首大根は練馬大根や三浦大根、和歌山大根など、主に地方野菜として今でもつくられているよ。
青首大根の青い首は、じつは「茎」の一部!
青首大根の青い首の部分は、地面から伸び出てきた部分で、ここは「胚軸」の一部です。胚軸より下の白い部分が「根」です。ダイコンによく似たカブは、丸い部分全体が胚軸です。
ダイコンもカブも根っこが辛い!
青首大根は部分によって味が違います。首のほうは甘く、下(根)のほうは辛味が強くなります。これはカブも同じですが、胚軸は甘く、根は辛いと覚えておきましょう。
ダイコンはどこからやってきた!?
ダイコンの原産地は地中海沿岸や中央アジアなどの説があり、はっきりとわかっていません。今からおよそ1300年前に書かれた日本最古の書物『古事記』に、ダイコンの記述が見られるので、その前から日本に伝わっていたことは間違いありません。
▲ダイコンは中国や朝鮮半島を経由して、日本に伝わった
5000年前の古代エジプトでも食べられていたんだって!
日本原産の野菜は数少ない
ダイコンに限らず、キャベツ、ニンジン、ジャガイモ、キュウリ、トマトなど私たちがよく食べる野菜は、ほとんどが外国から伝わってきたものです。日本原産の野菜はミツバ、セリ、ワサビなど、数は多くありません。
10年後、20年後を見すえた研究をしています!
タキイ種苗株式会社 広報出版部 岡本 祐さん
異常気象が世界的に心配されています。日本でも急激な気温の変化や、豪雨が頻発しており、ダイコンをはじめ畑で栽培する野菜は、特に環境の変化に大きく左右されやすいものです。しかし、単に悪い環境に強い品種を開発するだけでは十分ではなく、安定して収穫・出荷できる品種が求められています。1年中、いつでもスーパーや八百屋にダイコンが並んでいますが、実際に自分で栽培してみると、大きく均一に育てることの難しさを感じると思います。冬が旬のダイコン、秋にタネをまいて、ダイコン栽培に挑戦してみましょう。
ダイコン栽培に挑戦してみてね!