ビンやカン、ペットボトルがリサイクルされていることは知っている人も多いでしょうが、実はゴミを焼却したあとの灰もリサイクルされています。どのように再生し、何に使われているのか、新日本電工に聞きました。
- リサイクルの仕事
- 環境を守る仕事
- ゴミを資源に変える仕事
ホント。焼却灰を石にして道路の材料にしたり、貴金属を回収して資源としてリサイクルしたりしているよ。
家庭のゴミがどうリサイクルされるのか流れを追ってみよう!
家庭から収集されたゴミは、焼却施設、リサイクル施設、最終処分場に分類されて運ばれます。さらに焼却して出た灰は、最終処分場に運ばれるだけでなく、灰溶融炉をはじめとした専門の施設で資源化されます。
ゴミを収集
1年間で4034万トンものゴミが家庭やお店から出されています。そのうち家庭ゴミは2841万トンと7割以上。
1年間で東京ドーム108杯分のゴミが出されているんじゃ!
焼却施設
▲燃やすゴミは清掃工場の焼却施設で燃やされます。
リサイクル
▲日本のペットボトル等のリサイクル率は86%以上あり、他の国よりも優秀です。
焼却灰
▲燃やした後に残る焼却灰。ゴミの状態から容量が減り、このまま埋め立てられることもあるが、さらに資源化することが可能。
焼却灰の搬入
▲焼却灰がもれ出ないよう、完全に密閉された専用の運搬車で安全に工場まで運搬します。
焼却灰溶融炉
▼約1500度という高温で焼却灰を溶融固化します。ダイオキシンなどの有害物質を無害化して作られたエコラロック(左)や溶融メタル(右)は、安全で環境にやさしい製品になります。
エコラロック®
▲徐冷スラグ*という硬い岩石状のスラグにリサイクル。下の説明のような、さまざまなところで使われています。
*スラグ:特定の成分が溶けて分離してできたもの
溶融メタル
▲ゴミの焼却灰に含まれる金属。金、銀、銅などが資源としてリサイクルされます。
エコラロック®はいろんなところで使われているよ!
焼却灰から作られたエコラロックは頑丈なので、さまざまな場所で活躍しています。主に土木資材として道路や公園などで使われています。
道路の材料に!
公園などの盛土に!
ソーラーパネルの下に敷く資材に!
鉱物資源を守るのにも一役買っている
◀︎エコラロックを活用することで、新たに山を切り崩して採る石の量を減らすことができ、地球環境を守ることにも役立っています。
エコラロックを活用することで山を切り崩す量も減らせるんだ。
埋め立て(最終処分場)
2046年で日本の埋立地は満杯に?
埋立地の残余容量は9666万m3です。リサイクルなどをせず、このままのペースで埋め立てを続けると、日本の埋立地は2046年には満杯になり、埋め立てる場所がなくなってしまうのです。出所:環境省(2022年度データ)
毎日新しい発見があり、やりがいのある仕事です
新日本電工株式会社 齋藤 周さん
新日本電工は、茨城県鹿嶋市の工場に4つの溶融炉をもち、毎日数百トンの焼却灰を溶融しています。私の仕事は、焼却灰を効率的に溶融する方法を考えることです。焼却灰にも成分や状態でそれぞれ個性があり、品質の良いエコラロックや溶融メタルを作るために、焼却灰の組み合わせや熱する温度などを決めています。料理と同じです。相性の悪い材料を混ぜたり、熱を加えすぎたりするとおいしいものはできませんよね。
人の暮らしの変化とともに焼却灰の成分も変化しています。毎日、試行錯誤を繰り返し新たな発見がある仕事です。皆さんにも焼却灰のリサイクルに興味を持ってもらえるととてもうれしいです。
良い品質を目指して試行錯誤の毎日です!