電車が電気の力を利用して走ることはなんとなくわかっていても、実際にどのようなしくみで動いているのかくわしく知らない人も多いでしょう。鉄道電気工事を行っている日本電設工業に聞いてみました。
- 電気設備を作る・守る仕事
- 鉄道を支える仕事
- 社会のインフラを作る仕事
発電所から送られてきた電気を電車のパンタグラフを使って車内に取り込み、モーターを動かしているよ。
電車を動かす電気は、電力会社の送電線からすごく高い電圧で届きます。それを電車が動かせる電気に変換するのが変電所の役割です。その電気を架線を使って流します。電車の上部にあるパンタグラフから電気を電車に取り込んで、モーターを回して、その力で車輪を回転させて電車を走らせています。
電車も路線によって直流と交流がある!
電車を動かす電気には、電気の向き・大きさ(電流)と勢い(電圧)が異なる2つの流れ方があり、直流と交流といいます。それぞれ長所と短所があり、鉄道を通す地域や輸送量、設備費用などを考え、どの方式か決めています。首都圏や大都市圏は輸送量が多いため、数が多く必要な車両の設備が安くすむ直流電化を、ほかの地域では地上の設備が安くすむ交流電化を導入しています。
直流
電流の+(プラス)と−(マイナス)が一定方向に流れる
交流
電流の+と−が交互に入れ替わりながら流れる。一般的な家庭の電気はこちら
直流
どこで使われてる?
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関東・中部・関西・中国・四国地方のJR(ジェイアール)
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全国の私鉄・全国の地下鉄
長所と短所
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遠距離になると送電の途中で電力を損失して効率が悪い
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地上に多くの設備が必要
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車両の設備が安く作れる
交流
どこで使われてる?
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全国の新幹線
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北海道・東北・九州地方のJR
長所と短所
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高圧で送電できるので変電所が少なくてすむ
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地上の設備が安く作れる
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車両の設備が複雑で費用が高い
※交流区間と直流区間を直通するため、どちらにも対応した「交直両用車両」もあります。
電車に乗るのに必要な設備はこんなにある!
電車を動かすにはたくさんの電気設備が必要です。下に挙げた設備はほんの一例ですが、どれか1つが欠けても鉄道の運行ができなくなる重要な設備です。日本電設工業はこうした鉄道の運行を支える設備を作っています。
架線(かせん)
▲電車に電気を供給するための電線を架線といいます。この電気を使って電車は動きます
変電所
▲発電所から送られてきたかなり高い電圧の電気を、電車を動かせる電気に変換する設備です
信号
▲電車が安全に走行するための信号は、レールの微弱な信号を使って電車を検知します
ホーム
▲ホーム上には放送や車掌用モニター、電光掲示板などいろいろな設備があります
改札
▲たくさんの乗客がスムーズに乗り降りするための自動改札も鉄道には欠かせない設備です
レールに電気が通っていたら触れると感電するの?
線路に流れているのは電車で電気が消費され、モーターなどの抵抗(電気を流れにくくするもの)を通った後の電流なので、電圧が下がって0ボルト(電気の勢いを表す単位)になります。地面の電圧も0ボルトで、その差がないため踏切の線路の上を歩いても感電しません。
わたしたちが日本の鉄道を電気の力で支えています
日本電設工業株式会社 鉄道統括本部 電力支社
大宮工事所 上田 愛さん
わたしたち日本電設工業は、電車に電気を送るさまざまな設備を作り、電車が安全に走る当たり前の毎日を日夜支えています。災害等で電気設備に被害が出たときは、一刻も早く電車が動くよう昼夜を問わず復旧工事をすることもありますが、止まっていた電車が無事に走り出す姿を見ると、工事の大変さよりも人々の生活に安心を届けられたというやりがいや誇りを感じます。
電車と電気をつなぎ、電車の安全・安定輸送を支える縁の下の力持ち。それがわたしたち日本電設工業の仕事です。
多くの人々の役に立っている、それがこの仕事のやりがいであり誇りです。