「いのちを支えるエンジニア」として高度な医療機器を操る臨床工学技士の仕事の様子を、日本臨床工学技士会に教えてもらいました。
- 臨床工学技士の仕事
- 資格がいる仕事
- 医療に関する仕事
医療機器そのものはもちろん、患者さんや一緒に働くスタッフにも意識を向けることが重要です。
臨床工学技士たちは、チーム医療の一員として、いつも一緒に働くスタッフや患者さんとコミュニケーションを取るよう心掛けながら働いています。たくさんある技士の仕事の中から、「ペースメーカ」との関わりについて見ていきましょう。
心臓を助けるペースメーカとは?
心臓は、筋肉が一定のリズムでドキドキ動くことで、血液を送り出します。このドキドキのリズムが乱れてしまったときに、心臓に電気を流して規則正しく動くよう手助けしてくれる医療機器です。
臨床工学技士の仕事について紹介するよ!
日本臨床工学技士会オリジナルマスコット
シープリン
心臓ペースメーカ植え込み手術の立ち会い
心臓の動きの乱れに苦しむ患者さんは、ペースメーカという機器を体内に植え込む手術を受ける。臨床工学技士は、手術に立ち会い、専用の機器を操作したり、植え込まれるペースメーカの管理を行ったりする
▲︎プログラマーと呼ばれる専用の機器で、手術を行う医師と連携をとりながら、ペースメーカに電波を送り刺激テストなどの機械的なチェックを行う
▲︎心臓の動きを補助しながら、手術が安全に進むようにサポートする
手術の後も患者さんに寄り添う
ペースメーカの植え込み手術が終わった後、患者さんが安心して日常生活を送れるよう、臨床工学技士は様々な形で患者さんをサポートしています。
自宅での使い方を指導
日々の暮らしでペースメーカに影響を与える環境や条件があるため、安心して生活できるよう指導を行います。
通院で経過観測
ペースメーカの電池がどのくらい使われたかや、リードに異常がないかを調べるため、定期的にチェックをします。
安全管理
ペースメーカ手術をした患者さんが特殊な医療機器を使う場合、ペースメーカに悪影響がないよう設定の管理や監視をします。
ネットで遠隔管理
体内のペースメーカから、送信機を使って病院のパソコンに情報を送ることで、患者さんの心臓とペースメーカの状態を確認します。
安心してふだんの生活ができるように!
さまざまな心臓の治療にも関わっている
ペースメーカの他にも、臨床工学技士は様々な心臓の治療に関わっています。患者さんの心臓を止めて手術を行うときに使われる「人工心肺装置(じんこうしんぱいそうち)」の操作や、血管に細い管を通して検査・治療をする「心臓カテーテル業務」。心臓の電気信号の通り道で異常な所を見つけ、熱を加えて焼く「アブレーション治療」では、コンピュータで作成した心臓の3次元画像(心臓の地図)をもとに治療が行われます。
人工心肺装置
心臓カテーテル検査
アブレーション治療
心臓のほかにも、手術で使う機器や人工透析(じんこうとうせき)、人工呼吸器などで、患者さんの命を守るんだ
患者さんに寄り添いながら、医療機器を操っています!
公益社団法人 日本臨床工学技士会
常任理事 広報担当 井上 博満さん
医療機器のスペシャリストである臨床工学技士は、医学と工学の両方を学んだ国家資格です。私たちが扱う機器のほとんどが、患者さんの命に直接結びつきます。特に大切な臓器の一つである、「心臓」の異常を素早く見つけ、最善な治療につながることを心掛けて日々仕事をしています。医療に興味があり、機械が大好きな私にとって、とても魅力的な仕事です。
機械を通して患者さんの命を守る臨床工学技士の活躍の場は、医療の現場でますます広がっています。私たちの仕事をもっと知りたい人は、全国の臨床工学技士会で開催しているキッズセミナーで「いのちのエンジニア」体験をしてみませんか?
患者さんの命に直接結びつく医療機器を、責任感を持って操っています!