アメリカのメジャーリーガー大谷翔平選手は、ピッチャーとバッターの「二刀流」で活躍しています。じつは野菜の世界にも「二刀流」があるといいます。どういうことか、タキイ種苗に聞きました。
- 野菜の苗をつくる仕事
- 植物の種をつくる仕事
- 品種改良の仕事
本当。接ぎ木(つぎき)という方法を利用して、1つの苗から2つの野菜を採る「二刀流」の栽培ができるよ。
野菜づくりの必殺技! 2つの苗をつないで育てる「接ぎ木苗」
接ぎ木苗とは、2つの苗(植物)をつなぎあわせて育てる方法です。つまり自根苗(じこんなえ)の茎を切って、他の野菜の苗にくっつけるのです。実がなるほうを「穂木」といい、根のほうを「台木」といいます。お互いによい部分を利用することによって、おいしくて病気に強い野菜ができるのです。
自根苗というよ
タネからそのまま育てられ、自分の根で育った苗
これが接ぎ木苗
接ぎ木苗は、2つの苗(植物)をつなげて育てる
こんなおもしろい技があるのか!
それとこれ⁉ 苗の意外な組み合わせ
接ぎ木苗の組み合わせは、同じ種類の植物同士か、関係の近い種類の植物同士で行われます。ふつう、ナスはナスに、トマトはトマトに接ぎ木します。意外なところでは、キュウリにカボチャ、スイカにカンピョウという組み合わせもあります。おもしろいですね!
接ぎ木苗は農家さんの強い味方!
じつは接ぎ木苗は、農家の人たちのたいへん強い味方です。同じ土地で同じ野菜をつくると、その野菜が好きな栄養だけがなくなって土の栄養バランスがくずれたり、病気にかかりやすくなったりします。接ぎ木苗を使えば、バランスのくずれた土でも育てることができます。おうちで新しく土(培養土)を買って家庭菜園をはじめるときは、自根苗でも十分です。
つなぐ技術のひみつ!
接ぎ木苗をつなぐ技術はむずかしく、すぐにできるものではありません。でも、方法を少しだけ教えます。
呼び接ぎの方法
穂木
茎を下から上に半分ほど切る
台木
茎を上から下へ半分ほど切る
切った口をあわせてクリップなどでとめて、土に植えて育てる
これが「二刀流」の野菜、うりふたつ!
ベランダなどの限られたスペースでいろんな野菜を育てたい。そんなときに接ぎ木の技術が役に立ちます。「うりふたつ」という接ぎ木苗のシリーズは、1本の苗で2種類の野菜が採れる、まさに「二刀流」の苗です。うりふたつにはいろいろな組み合わせがあります。
トマト&トマト
病気に強く作りやすい「CFココ」と、味がよく栄養価の高い「オレンジ千果」
ナス&ミニトマト
キュウリ&カボチャ
すごい!
本当に「二刀流」だ。
苗で日本の農業を支えていきます!
タキイ種苗株式会社
営業部ナーサリ課 西川 聡さん
20年ほど前まで、トマトやナス、キュウリなどの苗は、生産者がタネをまいて育てていました。しかし、苗づくりは、時間や労力がかかります。人手不足や、栽培面積の拡大などで苗をアウトソーシング(よそから調達)するようになってきています。
農業の現場では「苗半作(なえはんさく)」という言葉があります。「良い苗を植えると収穫の半分が約束されたようなものだ」という意味で使われます。これからも、よい苗を生産し、安定してお届けすることで日本の農業をサポートしていきたいと考えています。
自分で育てた野菜は格別においしいよ!