私たちの生活に欠かせない電気。発電にはさまざまな方法がありますが、地球内部の熱「地熱(ちねつ)」を使って発電する方法もあります。地熱開発を行うINPEXに聞いてみました。
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ホント。地球の中の熱エネルギー「地熱」を使って、発電できるんだ。
私の中のパワーはすごいよ!
地球のパワーを電気に変換
地球の中の熱を地熱と呼びます。温泉も地熱によるものです。地熱発電は、火山地帯の地下にある岩がドロドロに溶けた「マグマだまり」の熱を使います。ここに雨が浸透して、マグマの熱で熱水・蒸気となり、地下1~3km付近に溜まります。これを「地熱貯留層(ちねつちょりゅうそう)」といい、ここまで井戸を掘って取り出した熱水と蒸気で、地上の発電所のタービンを回すと発電できるのです。
地熱発電は発電時に二酸化炭素を排出せず、クリーンなエネルギーとして世界中から注目されています。地球の熱を利用するので、資源が枯渇する恐れがなく、天気の影響を受けずに昼夜を問わず安定して発電できることも特徴です。
地球の中身
地熱発電のしくみ
環境にもやさしい発電方法なのじゃ!
日本は世界有数の地熱資源国
日本は世界有数の火山国で、世界3番目の地熱資源国です。日本の地熱資源の眠る場所の多くは、国立・国定公園内にあります。INPEXは、日本やインドネシアで地熱開発を進めています。
資源エネルギー庁の資料をもとに作成(2016年6月)
どうやって「地熱資源」を探すの?
地熱発電所をつくるには、火山のそばにある地熱資源が必要です。マグマだまりを熱源とした、蒸気と熱水のある「地熱貯留層」を探します。地球の内部を輪切りにして調べられないため、井戸を掘削(くっさく)して地下を調査します。地熱貯留層が見つかっても、長期にわたり活用できるかくわしい調査が必要です。地熱資源の開発は、調査だけで数年以上はかかる一大プロジェクトなのです。
▲INPEXが2021年から事業に参加しているインドネシアのムアララボ地熱発電所(左)、2027年の運転開始をめざす秋田県湯沢市の小安地域の「かたつむり山発電所」(右)
地熱資源の手がかり
- 1火山がある
- 2マグマだまりのそばに熱水や蒸気になる水が常に供給されている
見えない地球の中を調べるんだね。
「井戸」を掘る技術力が大切!
地熱発電に利用する井戸は深さ約2kmですが、地面の下は深いほど圧力(ものを押し返す力)が高くなり、より深く掘るには、「掘る技術」が大切です。INPEXには、地熱エネルギーよりもさらに地下深く眠る石油や天然ガスを掘る技術があり、地熱開発でも活用されています。
1やぐらを組む
地下深くに井戸を掘るには、パイプを何本も継ぎ足さねばなりません。そのためにまず「やぐら」という専門の塔を組みます。
2特殊なドリルで井戸を掘る
1本約10mのパイプを継ぎ足しながら井戸を掘ります。パイプの先端に「ビット」という特殊なドリルを取り付け、泥水と呼ばれる特殊な液体を地上から強力なポンプで流し込み、ビットの先端から勢いよく出しながら、ビットを回して掘り進めます。こうして、井戸を掘った時に出る土や石を泥水で地上まで押し出します。
動画で石油・天然ガスの掘削の技を見てみよう!
地球にやさしいエネルギー開発にやりがい
株式会社INPEX 再生可能エネルギー・新分野事業本部
業務企画ユニット 坪田宗士さん(右)
インドネシアにある地熱発電所の操業に財務チームとして携わっています。まず、発電所を建てるには資金調達が必要です。世界中の銀行からお金を借りて発電所を建設し、生み出した電気を販売することで銀行への返済に充てています。今後約30年にわたり、どれくらい開発費用をかけて、どれくらいの電力を生み出すことができ、どれくらいの収入を上げられるのか予測を立てることも財務チームの重要な仕事。地球にやさしい再生可能エネルギーを持続的に開発することで世の中に貢献できるのがこの仕事のやりがいです。