新聞の新型コロナのニュース、ページによって何が違うの?

おしごと年鑑 「知る」「学ぶ」「楽しむ」をかなえるお仕事 2022年度
株式会社朝日新聞社

新聞をめくると、新型コロナウイルスをめぐるニュースがあちこちに載っています。ページに「社会面」「経済面」などと名前がついているけれど、何が違うのでしょう? 朝日新聞社に聞きました。

  • 新聞社の仕事
  • 取材する仕事
  • 情報を扱う仕事

記者が取材する分野や対象が違う。
役割分担をして報道し、世の中全体の流れを伝えているよ。

1面

新聞の「表紙」で、その日にもっとも伝えたいニュースが載る。2022年1月31日付紙面は、新型コロナの「オミクロン株」の感染が高齢者にも広がっていることを取り上げた。

1面、2022年1月31日付紙面

総合面(政治)

政府や政治家、官僚などに取材し、国の動きを伝える。国民の声を政治に反映するために全国の有権者に世論調査もする。2022年1月25日付紙面は、政府のコロナ対応への評価など、世論調査の結果を報じた。

総合面(政治)、2022年1月25日付紙面

経済面

企業や銀行、働く人々に取材し、暮らしの今とこれからを伝える。2021年12月22日付紙面は、コロナ禍で働き方改革が進み、正月三が日に休むスーパーの新しい動きを報じた。

経済面、2021年12月22日付紙面

社会面

テレビ欄の裏から始まり、事件事故からコロナの新規感染者数、ちょっといい話まで全国各地の話題を扱う。2022年1月25日付の大阪の紙面は、感染拡大で「非常事態」だとして、大阪府吹田市にある「太陽の塔」が赤くライトアップされた写真を載せた。

社会面、2022年4月22日付紙面

科学面

コロナ研究やワクチン開発など最新の科学情報について科学者や医師らに取材し、解説。2022年4月22日付紙面では、感染拡大の予測研究について伝えた。

科学面、2022年4月22日付紙面
ルーズリーフのイラスト

このほか、世界のニュースを扱う国際面、暮らしの話題が豊富な生活面、文芸、歴史、美術などの話題を扱う文化面、スポーツ全般を取材するスポーツ面、読者の声を集めた「声」欄があるオピニオン面などがあり、それぞれが新型コロナをめぐるニュースも伝えています。

どのページも大事ケモ!

ケモノン
リポート

福山亜希記者の
取材記
ミャンマーの人々の
声を届ける

ミャンマーの地図

朝日新聞社は、海外に5つの総局と28の支局を持っています。世界を取材する特派員たちは、戦争で人々の命が危険にさらされている地域を取材することもあります。国軍の武力支配で揺れるミャンマーで取材するヤンゴン支局長の福山亜希記者が、現地の様子と取材にかける思いを寄せてくれました(写真も)。

1年3カ月で市民1800人が
犠牲に 自由に話せぬ国で取材

2021年2月1日、ミャンマー国軍は力ずくで権力を奪う「クーデター」を起こしました。ノーベル平和賞の受賞者で国のリーダーだったアウンサンスーチーさんを拘束し、武力で国を支配し始めたのです。怒った市民はデモを起こしましたが、国軍は市民に向けて銃を撃ちました。人権団体によると、2022年5月2日までに1800人が犠牲になりました。デモに参加しただけで殺されてしまった人たちの無念は想像もできません。クーデターの後にミャンマーに入国した私は、家族や恋人を殺された人々に会い、その思いを記事にしてきました。国軍が支配する国では自由に意見が言えません。取材に応じてくれる人を探すのは大変です。日本の人たちにミャンマーのことを伝えたいと説明し、ようやく一部の人が取材に応えてくれました。悲しみを抱える人たちと向き合い、じっくり話を聞きました。

住居の跡から、使える材料を運ぶ子どもがいました

貧しくて、土地に不法に家を建てて住む人々もいます。国軍はそうした人々を強制的に立ち退かせました。住居の跡から、使える材料を運ぶ子どもがいました=2021年12月21日、ヤンゴン

活気ある国が一変
 一部市民は武器を手に

クーデターの背景には、スーチーさんと国軍の対立がありました。スーチーさんは、国軍を優遇する憲法を改正しようとしていましたので、国軍にとっては煙たい存在でした。クーデターが起きるまで、ミャンマーは活気にあふれた国でした。国が発展すると期待され、世界の国々から人やお金が流れ込んでいました。ただ、その状況はクーデターで一変しました。世界の国々は、クーデターを起こした国軍を懲らしめるために経済制裁を科しましたが、国軍は聞く耳を持ちません。かたくなな国軍に対して、一部の市民は武器を手に戦い始めました。怒りや憎しみが国軍と市民の間でさらなる衝突を生み、同じ国の人々同士が殺し合っています。学校の先生やお医者さんもこうした戦いに加わっていますので、現地では十分な教育や医療が受けられなくなっています。

露店では連日、大勢が買い物をしています

人々はクーデター後、国軍への抵抗活動を続けながら日常生活も送っています。露店では連日、大勢が買い物をしています=2021年11月19日、ヤンゴン

ミャンマーへの関心を薄れさせない
 記者の使命とともに

ミャンマーに平和が戻るまで、どのくらいの時間が必要か、検討もつきません。記者の使命は目の前で起きていることから目をそらさず、現場で感じたことを伝えることです。ミャンマーの人たちの苦しい生活をみると、私も同じようにつらくなることがありますが、取材を積み重ねて記事を書くことで、ミャンマーのニュースが世界の人たちへと届き、ミャンマーへの関心を薄れさせないことにつながると信じています。これからも安全に気をつけながら、取材を続けていきます。

朝日新聞ヤンゴン支局秘書のチョーケイカインモウさん(右)と共に仏塔を訪れた福山亜希記者

◀︎朝日新聞ヤンゴン支局秘書のチョーケイカインモウさん(右)と共に仏塔を訪れた福山亜希記者=2021年11月27日、ネピドー

僧侶が列を作って食事を受け取る様子を撮影する福山亜希記者

◀︎ミャンマーでは、僧侶に食事を振る舞う「托鉢」が盛んです。僧侶が列を作って食事を受け取る様子を撮影する福山亜希記者=2021年11月18日、ヤンゴン