公園などでおなじみの芝生。一般的な芝生は寒い季節に茶色く枯れてしまいます。でも、サッカー場やラグビー場の芝生は1年中青々としています。なぜなのか、タキイ種苗に教えてもらいました。
- 植物の種をつくる仕事
- 品種を選抜する仕事
- 緑化活動に関わる仕事
暖かい時期に育つ芝と、寒い時期でも育つ芝の2種類を植えているからだよ。
「サンガスタジアム by(バイ) KYOCERA(キョーセラ)」(京都府亀岡市)のグラウンド。京都サンガF.C.(エフシー)のホームスタジアムとして有名だ
スタジアムの芝生が
ストライプに見えるのは?
スタジアムの芝生のきれいなストライプ。これは芝刈り機が進んだ方向の違いにより、そう見えるのです。カットされた芝が手前向きか奥向きかで、光の当たり具合が変わってストライプに見えます。色の違う芝生を2種類植えているわけではありません。
1年中 青い芝生にするひみつは「ウインターオーバーシード」!
芝の種類は大きく2つに分けられます。暑い気候を好む夏芝と、涼しい気候を好む冬芝です。夏芝は寒い時期には眠ってしまい茶色く枯れてしまいます。一方の冬芝は寒さに強く、冬でも枯れずに緑色の葉を保ちます(反対に夏の暑さには弱い性質があります)。
この2種類の芝の特徴を生かして、1年中青い芝生を保つ方法を「ウインターオーバーシード」といいます。毎年秋に夏芝の上に冬芝のタネをまく方法で、これにより夏芝から冬芝へと自然に切り替わっていきます。
▲ウインターオーバーシードで冬芝のタネをまく時期は、9月中旬〜10月中旬。1平方メートルあたりに40〜60g(グラム)のタネをまくよ
芝生にはいいことがたくさんある!
芝生の上を裸足で走ったときの気持ちよさ。「わかる!」という人も多いはず。スタジアムに限らず、公園や広場、その他さまざまな場所を芝生にするといいことがたくさんあります。芝生のよさについて考えてみましょう。
安全性の高いクッション
▲芝生は衝突などのショックをやわらげるため、安心して遊べる
ほこりをしずめる効果
▲空港や化学工場でも、ほこりの侵入を防ぐために芝生が用いられる
気温の上昇をやわらげる
▲芝生とコンクリートでは、夏の表面温度に15℃(ど)の差があった例もある
芝生を増やすのはいいことだケモ。
自分で芝生をつくってみよう!
芝生は自分の家でもつくれます。1〜2畳でつくれる家庭用の芝生もあります。もし自分の家に庭があれば、庭を芝生にするのもいいですね。庭はないという人も大丈夫。植木鉢などに芝生のタネをまけばきちんと育ちます。植木鉢の芝生が育ったら、そこに人形を置いてジオラマをつくる、そんな楽しみ方もあります。
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1 タネをまく
夏芝は春、冬芝は秋にタネをまく
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2 土でタネをおおい水をやる
土でタネをおおい軽く押さえる。雨でタネが流されるのを防ぐ目的もある
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3 育ったら刈り込む
生長期には1週間に1回程度刈り込みをする。刈り込みの高さは2〜3cmが目安
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4 刈りくずや雑草を取る
芝生に水や栄養を行き渡らせるため、刈った後の刈りくずや雑草を抜き取る
よく立ち入り禁止にされるのは?
芝生のタネをまいた後、きちんと根付く前に人が踏むなどしてダメージを受けてしまうと、芝生は枯れてしまいます。タネをまいたばかりの場所にはしっかり根が育つように、または、芝生を使いすぎた場所には休ませるために、世話をする人以外は入れないようにしています。
学校の校庭を芝生にする緑化活動のお手伝いをしています!
タキイ種苗株式会社
営業部緑化飼料課 草野竜則さん
みんなが通う学校の校庭が芝生だったらどうでしょうか? 芝生の上を走ったり寝転がったり、毎日楽しいと思いませんか?
京都市では小学校などの校庭を芝生にする緑化活動が行われており、私たちはそのお手伝いをしています。もともとは硬い土だった校庭に、土をやわらかくしてから芝生のタネをまくのです。校庭が芝生に変わって児童たちはとても楽しそうです。芝生はやすらぎの効果や環境への効果が大いにあります。このような緑化活動が全国にどんどん広がっていくことを期待しています。
芝生のタネはホームセンターや通販でも買えます! 芝生づくりにチャレンジしてみてください。
▲ 京都市立醍醐西小学校の芝生の校庭。2014年に完成した